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姿形を楽しむ〜ヴァイオリンの弓を楽しむ

鑑定の上では見た目はとても重要ですし、弓の特徴を示す資料も視覚的な情報が多いものです。ですが、音楽を演奏する上では、触感や音の違いに比べ、素材や姿形の違いは演奏者には面白い話題では無いように思えます。実際、演奏家は弓の見た目についてほとんど気にしないことが多いようです。

とは言え、見た目の特徴で値段は大きく変わりますし、一般的な知識としても、また善し悪しを判断する材料としても、見た目について多少記したいと思います。

違いがわかりやすいのは手元のフロッグ周辺でしょう。

フロッグの貝細工は目につきやすい箇所で、様々な模様もあるのですが、
弓自体の善し悪しとは全くと言っていいほど無関係です

ラッピングの素材や色は様々で、特に金糸を使ったものは豪華に見えますし、クジラのヒゲを使ったものに憧れるかもしれません。貝細工も様々な模様のものがあります。ですが、ラッピングや貝細工は交換されていることも多く弓の善し悪しとは無関係です。ただ、古い弓でオリジナルのラッピングには骨董的価値はあります。

フロッグの金具や材質が特別なものは希少性は高いものの弓自体の性能とはそれほど関係しません。金+べっ甲のものなどは製作時点で特別な弓として作られることも多く、スティックも良い材料を使って意欲的に製作されている可能性は高いと言えます。その意味で性能面で無関係とは言えませんが、「金べっ甲だから良い弓」ではありません。逆に良いスティックでも、後世のフロッグと交換されている場合は大きく値段が下がります。お金をかけずに音や性能の良さを求めるのならこういうものは狙い目でしょう。

フロッグや装飾も音には直接関係ありません。スタンプは全くと言っていいほどあてになりません(TOURTE、LUPOTなどのスタンプを押してある弓は非常に多く質的にも玉石混交です)。

クジラのひげ(黒と黄色のシマシマ)のラッピングで飾りなしの弓と、
金糸と絹糸のラッピングの金べっ甲弓

スティックに押してあるスタンプ:ほとんどあてにはなりません。

大きく音や弾き心地に寄与するのはスティックです。ですが分かりやすい部分で善し悪しを判断することは困難です。

ヘッドの形状は鑑定上重要ですし、ヘッドの造形は鑑賞対象になり得ますが音には無関係と言って良いでしょう。スティックの色も濃い色が良さそうですし艶があった方がきれいですが、着色やニスを塗ってあることも多く善し悪しとはあまり関係ありません。角弓(スティックが先端まで八角形になっている)か丸弓(途中から円形になっている)も音や性能の差は無いようです。材質も目の詰んだ良い材料がもたらす強度は性能面で大切ですが、フェルナンブーコだから良いというものでは全くありません。スティックの削り方が適切であれば、アイアンウッドやスネークウッド(アムレットとも言います)のものでも良い音がします。

材質について 上:フェルナンブーコ、中・下:アムレット
上・中は丸弓、下は角弓

見た目で重要なのは「全体的な造形」です。全体の形状から「これは良い弓だ」と分かる場合はあります。音は大半をスティックの響き具合が決めているわけで、ヘッドなどの部分よりも「単なる曲がった木の棒」に見える全体の造形から生まれる振動具合が音に影響します。

見た目から音の善し悪しを推し量るには「単なる木の棒」の造形の善し悪しを見る必要がありますが、弓全体の形状の「優美さ・自然さ」と「音や弾き心地の善し悪し」は相関関係があるように思えます。

その上で、鑑賞する際に面白いポイントを記しておきます。

ピン(フロッグの金属の中の小さな丸)。製作家の特徴がでて興味深い。
左:ピンが1つ、中:ピンが2つ、右:ピンが3つ

穴の切り具合:製作者の腕の冴えが分かる

ネジ(金属の部分)はオリジナルであれば年代を推し量る材料になり得る
上:オリジナルと思われるネジ、下:同じ弓用に製作したレプリカ

金属や貝細工との大きさの比率。オールド弓はモダン弓とは異なるバランスになっていることも多い(特にヴィヨームスタイルの弓は分かりやすい)。

上:モダン弓、下:オールド弓

ヘッドの切り方。全体的には均整の取れた形の弓でも、細部は変に丁寧ではなく、むしろ多少荒い感じが名人にはしばしば見られる。腕があるからこそ、迷いがなく速い仕事を推し量ることができる。

きれいに磨いているのではなく、削った痕跡が生々しく残っている
仕事の速さ、腕の冴えが伺える

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