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タイトルや作品そのものから読み取る〜様式・解釈5

解釈を考える上で作曲家の意図は最重要です。楽曲分析なども行いつつ作品自体から読み取ることはもちろんのことで、周辺情報よりも作品そのものが優先されることは言うまでもありません。それゆえ曲によっては原譜のスタッカートの点ひとつで大問題になるのがクラシック音楽の世界です。

ところが、スタッカートの点どころか、楽譜に記載の指示は少なからず後世によるものだったりします※1。その曲にまつわる逸話はどこまで真実かわからないし、そもそも曲自体が真偽を疑われる場合も少なくありません(ヘンデルのヴァイオリンソナタ3番など)。

タイトルや副題も解釈に大いに有効ですが、ベートーヴェンの「運命」は「このように運命は扉を叩く」とベートーヴェンが答えたとされる有名な話は信憑性に欠けると言われます。タイトルを尊重しすぎるとむしろ不適切な解釈をしてしまうことにもなり得ます。

作品そのものから解釈しようにも、構成や音符の改変が行われている例も少なくありません。その一方、オリジナルだから優れているとは限らず、後世の解釈が入った弾き方の方が普通に弾かれる弾き方の場合もあります(チャイコフスキーのコンチェルトが有名)。さらには作曲家自身によるバージョン違いがあったりします(シベリウスのコンチェルトが有名)。

本来の姿で弾こうにも現代の弾き方と異なるし、聴き手の対象、美意識や価値観が時代によって異なったりもします。

結局のところ、完全オリジナリティを追求することに意味があるのかという点に至ってしまいます。そしてそれが聴き手に提供して喜んでもらえるものである必要もあります※2。

言えることがあるとしたら、様々なアプローチがあり得る事は知っておくべきで、その中から曲を活かすために有用かつお客様に喜んでもらえるアプローチを取捨選択して考えることになります。作曲家・演奏家・聴き手ともに幸福であることが「解釈」の着地点なのです。

※1 だからこそヘンレ版やベーレンライター版など本来の姿を取り戻そうとした楽譜が必要になります。
※2 「クラシック音楽」は封建的な時代があり「お客様」が軽視されがちでしたが、それは過去のものです

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