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太い音色:音を痩せさせないように:目指すべき音色3

西洋の音楽では一般的には痩せた音よりは厚みある太い音の方が好まれます。オペラ歌手のようなお腹からの声がイメージしやすいでしょう。音の太さや厚みは弾き方だけでなく楽器にも依存します。

ただ、「厚みある音に」と考えるより、「痩せた音にしないように」と逆に考えることの方が比較的容易です。痩せた音とは周波数レンジの狭い音とも言えます。ポータブルラジオのように上の周波数も下の周波数も出ていない音です。

痩せた音は振動を押さえ込むことで出てしまいます。弓で弦を押さえつける事、左手を押さえ過ぎる事、顎でヴァイオリンをしっかり挟む事、弓をしっかり持つ事、いずれも楽器や弓の振動を押さえ込むことになります※1。

楽器や弓についても痩せた音は振動を押さえ込むことで生じます。元々のつくり、調整具合ともに振動が押さえ込まれてしまっている楽器や弓は概して痩せた音がします(大きい音は出ます。フルボリュームにしたポータブルラジオのうるさい音のイメージです)。さまざまな面で可能な限り自由な振動ができている楽器が音は太いと言えるでしょう※2。

演奏面の脱力についてはよく言及されますが、単に脱力ではなく楽器の振動を妨げない観点で考えると良い音は出ますし、楽器選びや調整も振動を抑え込む方向ではないようにと考えてみてはと思います。

※1 力を抜こうとすると、演奏が不安定になる場合は多々あります。なんでもかんでも緩めれば良いわけではありませんので、演奏の場面に応じた安定性とのバランスで考えるべきです。

※2 ただし音色は単に音が太ければ良いというわけでもありません。曲で求められる状況に応じて音色を弾き分けます。ただ元々太い音を痩せさせることはできますが、その逆は不可能です。

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