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ニスがひび割れているけど大丈夫?- 楽器のコンディション 2/4

ニスがひび割れている楽器を見かけることがあります。細かくひび割れる場合や大きくひび割れて亀裂が入っているように見える場合などがあり、新作のヴァイオリンでも数年程度で目立つほどになることがあります。多かれ少なかれ、ニスにはヒビが入るものと言っても構わないほど頻繁に見かける経年変化です。

中には「ニスにヒビの入った楽器の方が良い楽器」という言われ方すらされますが、これは根拠が充分ではありません。ひび割れはニスの乾燥に伴って収縮するために生じるもので、それ以上のものでもそれ以下のものでもありません。

よく見かけるケースとしては、経年に伴って干上がった湖のように亀甲状にひび割れ、また、ひび割れるとそこからニスが剥げてきやすくなります。

購入したときはピカピカだったのに、ひび割れ、剥げて傷んでいくのは面白くない、という気持ちはよく理解できます。ですが、ひび割れた・剥げたからと言って神経質に修理に出すのは望ましいとは言えません。その都度修理すると修理代金が大きくなるし、何より、修理する毎に本質的に楽器のコンディションや音質は悪くなっていくためです。

オリジナルニスの剥離を最小限にするためにコーティングをするという考え方もありますが、無神経にコーティングのニスを塗ることはオリジナルの状態から離れるし、音色も悪化します※。

ヴァイオリンは胴体のほぼ全てが振動板です。表板、裏板、横板いずれも硬度、強度を変えると音は激変します。つまりオリジナルニスと異質のニスを塗ると音色は大きく変化します。楽器は音質を保つことを本来最優先するべきで、そのためには可能な限り何もしない方が望ましいと言えます。

ヴァイオリンのニスはどのように使用していても、いずれひび割れ剥げていくものと思っておいた方が良いかと思います。楽器を選ぶ際も、年式相応の痛み具合の方がコンディションが良いと考えるべきです。そして、外観面だけを保って後世に受け継ぐよりも、できるだけ音を保って受け継ぎたいものです。

※絵画の修復ではコーティングや後世の絵具を剥がし、あえて後々取り除きやすい絵具を使用して欠落を埋める配慮がなされます。残念ながら、楽器の修復ではそこまで配慮した修理はまれです。足す分には問題ないという考えが主流で、安易にニスを上塗りすることが多いようです。

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