下記の楽譜のようなリズムは頻繁に使われます。例えば、スズキ教本2巻の「妖精の踊り」だったり、カイザー23番だったり、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトの3楽章だったりが顕著な例です。
ご存じの方も多いかと思いますが、音符の右横に付く点は「付点」と呼ばれます。これは「元の音符の1/2の長さを付け加えて」という意味になり、付点が一つの場合は「付点無しの音符の1.5倍の長さで」という意味になります※。
4分音符に付点が付くと4分音符が1.5倍の長さになる「付点4分音符」になります。
4分音符は8分音符の×2。
付点が付き「付点4分音符」になると、8分音符×2×1.5=8分音符×3
となります。
すなわち、8分音符の3倍が付点4分音符になります。従って、音の長さの比率は「付点4分音符」:「8分音符」=3:1となります。
同様に、8分音符に付点が付くと8分音符が1.5倍の長さになる「付点8分音符」になります。
長さの比率は「付点8分音符」:「16分音符」=3:1となります。
数が多く出てきて、ややこしくなるかもしれませんが、音の長さが3:1の比率になることだけお分かり頂ければと思います。時計で言うと前の音が0分から始まり、45分の位置から次の音が始まることになります。
長さが3:1の比率になるこのリズムですが、テンポが速くなると2:1になってしまうケースが多々あります。先生や指揮者に指摘された経験がある方も多いことでしょう。
解決のためには、もちろん「1・2・3・1」と数える方法もありますが、時計で言う30分のタイミングで音を強く意識する方法がよく採られる方法です。「ターアタ」などと強めに「ア」を入れると、45分のタイミングで次の音を発音しやすくなります。あるいは、3:1のうち「1」の方の音符を、「3」とセットに考えるのではなく、次の音の前打音と考える方法も特にテンポが速い時は有効です。
また、ヴァイオリンの技術に即した場合、弓の長さの配分が3:1になるようにと意識する方法があります。この配分が不適切で、3:1のうち「1」の方の音符を長い弓で弾きすぎてタイミングが合わなくなってしまうケースがあります。短い音は短い弓で弾こうとすると比較的タイミングを合わせることができます。
※更に付点が二つ付いた複付点は元の音符に加え1/2の長さと1/4の長さを付け加え、×1.75となります。すなわち「複付点4分音符と16分音符」の組の場合は、7:1の長さになります。
※付点はバロック音楽などでは必ずしも3:1の比率とは限りませんが、ここでは便宜上一般的なルールで説明をしています。