土曜・日曜は東京にてレッスン。お越し頂いた皆様有難うございました。とても寒くなりました。どうぞ皆様風邪などをひかれませぬようご自愛ください。それから大変お久しぶりの方にお越し頂きました。お元気そうで変わらぬご様子で安心しました。
Facebookに書きましたがヴァイオリンを買いました。見た目は良くありませんが、音のとても良い楽器です。
以前レッスンにお越し頂いていた方から、松脂アレルギーでヴァイオリンが弾けなくなったため手放したい旨、ご相談を頂いた。その方にとってのメリットとスピード感を考えた結果、自分が購入することに(レッスンをご利用の方にはそういう配慮は最大限致します。こういうのが昔ながらの教える側・教わる側の関係です)。

弦楽器専門店シャコンヌさんの故窪田会長製作の2011年製「新作シャコンヌ」です
ヨーロッパ材を使った音の良いモデル
「新作シャコンヌ」には個人的思い入れも。シャコンヌさんには子供の頃からお世話になっていたし、コロナ禍の前まで10年以上毎月名古屋に伺っては故窪田会長にヴァイオリンについて教えて頂いた。鑑定、修理・修復、製作、弦楽器のビジネスなどヴァイオリンにまつわる広範な事柄だ。そして、お造りになった「新作シャコンヌ」も第1号機から相当数弾かせて頂いたし、都度製作の工夫も教えて頂いた。時には自分も意見すらもお聞き入れ頂いた。
オールドイタリーと直接比較しながら、ストラディヴァリやグァルネリが何に配慮してヴァイオリン製作をしていたか。構造、板の削り方、仕上げ方、ニス。全て音の変化を実証して頂いた。「新作シャコンヌ」は故窪田会長のオールドイタリー研究の壮大な実験考古学だったとも言える。

このようにニスは傷んでいて、見た目は良くありません
傷み方はモンタニアーナやゴフリラと言った湿度高いヴェニスで作られた楽器に似ています
自分にはそういうところが興味深いです

裏板側もオールド的風格とも言えますが、ニスが引いたりシワが寄っています
経年ではなく、製作の比較的直後に生じること
おそらくオールドイタリーも同様だったのでしょう
この楽器をレッスンにお越しの方など他の方にお譲りするには向かないかもしれない。見た目に悪いものは悲しい思いをすることも多いもので、「音さえ良ければ」と言う人でも、見た目を含めた価値は極力担保したいと思う。

手持ちの楽器をお譲りするなら2015年製の「新作シャコンヌ」にするかな
これなら現状できちんと調整もできているし、見た目も良い
さて、このヴァイオリンひとまず整備は必要だ。専門店のやっている方法にて掃除、ひとまず職人さんに大雑把な調整、徹底的な弾き込み、自分なりにも調整を繰り返すこと。現状で十分音は良いものの、振動板の音程のバランスは崩れているので故窪田会長のやっていた方法にて音程バランスの修正も。その上で、リクエストを明確にした上で、現状ネックの形状は自分には合わないのでネックシェイプを変えてもらい、職人さんに調整をお願いするだろう。
このヴァイオリンを使うことでどんな発見が得られるのか自分でも楽しみです^^。
