カイザー→クロイツェル→ローデの次は?

土日は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。連日暑いですね・・・。導入した噴霧器が早速大活躍です。気休めかもですが気化熱はエアコンと同じ仕組み。乾燥した暑い日なら理屈上効果があるはず。

ヴァイオリン練習曲のお話。練習曲はカイザーから始めクロイツェル→ローデ→フィオリロを挟むことも→ドント→ガヴィニエそして仕上げにパガニーニ、更に上にヴィエニャフスキということになっている。その理由も充分理解できる。

ところが、とある有名な先生がクロイツェルの次にパガニーニと記していて驚いたことがある。

パガニーニは恐ろしく難しいようにも一般的に捉えられるし、自分もそう捉えていた。けれども発想を変えて捉えられるようになったら非常に良心的に書かれていると感じるようになった。

同じフィンガリングのパターンでポジション移動だけで弾けたり、大きなポジション移動も無理なく音程が取れるようになっていたり、楽譜に記されている強弱やアクセントをつけると左手が上手く動くようになっていたり。

パガニーニからヴァイオリン音楽を俯瞰できるところに価値がある。ヴァイオリンとはこういう発想で弾くもの、ヴァイオリンとはこういう響きがするもの、そしてその応用範囲はとても広くヴィルトゥオーゾ音楽はもちろんオケ曲でも使いうるものと。

パガニーニの実態は小賢しい悪魔ではなく賢人だったと考えている。技術はある程度こなすことができたら全体像を見ようとしないとオタク趣味に走ってしまう。それゆえヴァイオリン音楽を俯瞰できるようになることが、演奏に必要。小賢しいテクニシャンではなく、音楽を俯瞰できる賢人だったからこそパガニーニは歴史に残るスーパースターになれた。

知識や技術は賢人から学びたい。自分はそう思う。

※ドント、ガヴィニエはローデまで弾けるようになったらご自分でもこなせるかとも思います。自分でこなせるものはレッスンでは優先度が低いため、レッスンにお越しの方にはローデの次にはパガニーニが望ましいと考えています。パガニーニの発想(ギター的発想とも言える)はシンプルですがシンプルゆえ自分で気づけないかもしれません。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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