ヴァイオリンが札束に見える人は心汚れた人では

土曜は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。ストラディヴァリの話がテレビで放映されていたとのこと。うちにはテレビが無いので観ていないのですが、お越しの方と楽器の話題にもなり、私自身知らないお話もあり興味深く伺いました。教えて頂き有難うございます。

テレビの番組内容は知りませんし直接関係ないですが。

手持ちの8冊セットのストラディヴァリの図鑑を何となく開いたらポシェット(キット)の写真が出てきた。ポシェットはダンスを教える際に先生が教えながら弾いたとされる楽器。こう言う歴史の表舞台から去った楽器や、分数ヴァイオリンのような少し用途の異なる楽器は酷使されず、状態よく残ることが少なくない。

この写真のスクロールの状態の良いこと!
ストラディヴァリじゃないみたい!^^;ロッカみたいです

酷使されてボロボロな見た目の楽器も元々はこんな姿だったはずだ。ひいてはそこから元の音を押し測ることができる。

とても状態の良いストラディヴァリのヴィオリーノ・ピッコロを博物館で弾いたことがあって、ストラディヴァリじゃないようなとても良い音がした。それは極めて状態の良いTuscanストラディヴァリに近い音だった。

これです(撮影禁止だったため博物館のパンフレットより)
多くのストラディヴァリを触りましたが自分の実体験ではこれが一番の音
1/4サイズくらいで普通のチューニングで弾きましたが、
博物館の広い空間に響きわたり中身が多くそれでいてクリーンな音でした
天上の音という形容がぴったりでした
ただ調べるとこの楽器のオークション落札価格はそれほど高くなく

よくあるストラディヴァリの音はこんな感じです
この楽器もとても良いストラディヴァリなのですが、まあこんな音。

ところが上記の”Tuscan”はこんな音
ストラドによくあるような耳に刺激的な音ではありません
こういうのが良い楽器の音と考えていますし、
レッスンでは演奏技術・楽器ともにこんな音を目指しています

古いヴァイオリンの面白さは古いボロボロの見た目にあるわけではないこと。札束で頬を叩く態度も大きな金額にひれ伏す態度もくだらないこと(高額でなければ見向きもしない人がヴァイオリニストでも大半と思います)。ことあるごとに金額を口にだす人はヴァイオリンが札束に見えている人で心が汚れているんじゃないか。ちょっと強調しておきたいなと思いました。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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