何もしないオールドヴィオラの整備
水曜・木曜は東京にてレッスン。先週レッスンをお休み頂いたためですが、両日とも8コマ+8コマの大賑わいでした^^。寒い中お越し頂いた皆様有難うございました。
終末時計が過去最短になったり、新型肺炎など憂鬱な気持ちになりますが(「人の心こそが最も恐ろしい」と今回も思わされています)、それとは関係ない呑気な話題です。
先日購入したオールドヴィオラを整備中。今週のレッスン中も整備をしていた(窓際に置いてあったのをご覧頂いた方もいらっしゃるかもしれません)。整備と言っても何をするわけでもない。うちでは古い楽器を買ったら弦を5度ほど緩めた状態で生活環境の中に半年ほど置いておくことが多い。ヴァイオリン属の楽器だけでなく古いクラシックギターやアコースティックギターも同様だ。
当然、温度や湿度は上下するし、もちろん弾く時は弦を張るので弦も張ったり緩めたりして楽器に悪そうだ。でも不具合を出し切りたいし、何より変形を戻したい。
古い楽器は大抵弦のテンションによって変形している。この変形が見た目に卑屈な表情をもたらしている場合があるし、音の上でも不健全(味わいとも言えるが)になっている場合がある。木材は吸湿する時に元の形に戻ろうとする。この性質のためか、日常生活に置いておくと変形が少なくなって音も健全になるようだ。実際、弦楽器工房では梅雨時の湿度を利用して板を吸湿させて変形を取り除く修復作業を行う。
人間と同じで道具も使われないと卑屈な表情を帯びてくるし、逆に多く使っていると元気な表情になってくる。骨董品の保全としては不適切かもしれないが、わたしは楽器としての機能保持のためにも日常の中で使う事が好ましいと信じている。
※なお、板同士の接着は剥がれる時は剥がれるので剥がれた時には直してもらえばよいと考えます。