サイト更新〜年代と演奏環境&ブラームス演奏

水曜・木曜は東京にてレッスン。7コマ+9コマと大変多くのご利用&お越しを頂き、特に木曜は満員大御礼となり本当に有難うございました。私も頑張ってレッスンを行ないました^^。足の具合は下り階段が怖いですが概ね回復しています。今回も多くの方にご心配&お気遣いを頂き恐縮です。

金曜は弦楽器専門店シャコンヌさんの展示会を拝見しに吉祥寺へ。ヴィブラートをかけなくても充分満足できる音のオールドヴィオラがあり、興味深いものを拝見させて頂き有難うございました。

Facebookにも書いたがサイト更新をした。様式・解釈シリーズの2回目「曲の年代と演奏環境のリアリティある景色」のタイトルで書かせて頂いた。よろしければご覧ください。

曲の年代と演奏環境のリアリティある景色〜様式・解釈2  ヴァイオリン教室「ヴァイオリンがわかる!」
気づきにくいヴァイオリン演奏のコツについてです。E線がひっくり返ることへの対処や合理的に弾くための指遣い(フィンガリング)についてなど

「演奏解釈にはその曲が生まれた背景や当時の演奏環境を知るべき」という当たり前と言えば当たり前の内容だが、これまで作曲家への視点では語られても、パトロンや聴き手の環境の視点で語られることは少なく、これが近年の新しい風潮となっている。バロック演奏が以前と異なった演奏になっているのは、この風潮によるものと言えるだろう。

ところで最近「ブラームスを演奏する」というベーレンライターの編纂者の著書を読んだ。これはブラームスの当時、どう演奏されていたかを示したもので、大変に興味深い内容だ。

ブラームスと親しかったヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒム(19世紀の最も重要なヴァイオリニストのひとり)の弾き方について多くページが割かれている。

ヨアヒムはほとんどヴィブラートを使わなかったとされる。ヴィブラートなしでのブラームスなんて現代の耳では考えられないが、多分ヴィブラートは最小限で弾いたことだろう。実際ヨアヒムの録音(ハンガリー舞曲などの録音が残っています)ではヴィブラートは最小限に聴こえる。ただ現代の耳にはあまり上手な演奏には思えない。

レオポルト・モーツァルトの時代から「ヴィブラートはむやみにかけるものではない」と語られ続けるが、ヴィブラート最小限で聴き手を満足させられる音が出せたのか?当時の聴衆にはそれが大きな魅力になったのか?それとも別の魅力が?そして、現代の演奏としてヴィブラートをほとんどかけずに弾いて成り立つだろうか?

ヴィブラートひとつにしても演奏の状況のリアリティを考える必要はありそうだ。ヴィブラートなしでも満足できる音の楽器だとしたら、現代でも成り立つのか?サイト更新の記事の見直し段階でも、金曜の展示会でも考えさせられたことなのです。

原書2015年、訳書2020年の比較的新しい書籍です。
書籍内で言及されるヨアヒムの弟子のマリー・ゾルダートの音源も確かにヴィブラートは最小限
古楽演奏の響きのようにも聴こえますが、ブラームスの曲もこう弾かれたのだろうか