水曜・木曜は東京にてレッスン。遠方からお越しの方もおられ、お越し頂いた皆様有難うございました。自分の側が風邪を引きずって、しばしば咳をして失礼しました。ここのところあまり眠れていないので消耗する・・・。大したコマ数ではなかったのに猛烈に疲れた・・・。
ヘンデルのヴァイオリンソナタ。ヴァイオリンの練習課題として定番中の定番で、小学生の頃弾いたという方も多いだろう。ただきちんと弾くにはとても高度で隙のない音楽だ。さすがはヘンデル。巨匠中の巨匠の作品だ。
音楽を演奏する姿勢として聴き手と演奏者との立場の差は重要だ。
バロック音楽の場合は聴き手は貴族や王族だ。まわりくどい婉曲な言葉を尽くして「恐れながら申し上げます」と話すものと考える。「あり おり はべり いまそかり」の世界だ。音楽家は料理人と同じ立場とされるし、提供する相手は国の中で最上級の教養ある人物だ。作曲家、演奏家、楽器、会場すべてに贅を尽くされる。全てが政治的にも重要な機会だ。ヘンデルのヴァイオリンソナタもそんな中で生まれた曲だろう。
そんな趣旨のお話をした。聴き手との立場の差の意識は重要だ。
以前からお話ししているように、自分ひとりで弾いて楽しむには勝手だが、人前での演奏を「自分が楽しめば聴き手も楽しい」と言ってのける姿勢には自分は猛烈な反発を覚える。「ナメんな!」と言いたくもなる。少しの失敗でムチ打たれる仕事を楽しいと思う人はいないだろう。
自分ですらそんな気概を叩き込まれたものだが、そんなのは昭和の古い発想かもしれませんね・・・。プロじゃないのだから、本職の仕事もあるのだから、どうせ演奏内容なんて誰も聴いていないのだから、自分ひとりが頑張っても変わらないから、etc。まあ、その通りです。令和の時代は皇族ですら軽いのだから、聴き手への尊敬語、謙譲語、丁寧語なんて消滅したのかもしれません・・・。
