木曜日は東京にてレッスン。お越し頂いた皆様有難うございました。暑すぎない日でお越しの方に過度な負担をかけることなくひと安心でした(余計なことかもしれませんが結構こういう事を気を遣ってまして)。ただ自分の側は水曜は寝込んで・・・。プールも3日休んでしまった・・・。
寝ながらレッスンの準備。レッスンでは久しぶりのバッハのパルティータ2番クーラントあるいはコレンテ。この曲は多くの問題の生じる曲で都度調べ直す必要のある曲。付点のリズムを三連符として弾くか付点のリズム通り弾くか、テンポは速いか遅いか、と楽譜通りに弾く事自体が、かつての弾き方とだいぶ異なっていて問題になる。
2000年あたりを境に、クーラント(フランス風)ではなくコレンテ(イタリア風)として弾かれる音源が多くなった。バッハの音楽ではリュートはクーラント、ヴァイオリンはコレンテなんだそうだ。自分自身は故玉置先生からは付点のリズム通りに遅めのテンポで弾くフランス風として習った。名盤とされるヘンリク・シェリングやヒラリー・ハーンなどの演奏のスタイルだ。
たまたまピアニスト名で検索をしたら検索語からのAIによる表示情報に「ピアノ教室の選び方」の条件の一つとして「新しい教え方をしているか」が出て、考え込んでしまった。「新しい教え方」が良いのか?と。
「新しい教え方」ならイタリア風のコレンテ:速いテンポで付点のリズムを三連符として弾く、と教えることなのだろう。それが現代では正しいかもしれない。流行に沿うことが正しさなら簡単だ。
けれども、多くの人が大事にしてきたバッハの無伴奏の格調の高さ、優雅さに重きを置くのならフランス風のクーラントと自分は思いたい。自身が優れた踊り手だったルイ14世が好んだクーラント。国王の格調の高さ優雅さ、それから独りの重責と孤独。これを連想させ表現することこそ教えるべき事と自分は思いたい。それが屁理屈であり拡大解釈であろうとも。
まとめて多くの音源を聴いて、結局シェリングの演奏から「多くの思考が広がるなあ」「多くの人に愛された名盤がやはり素敵だなあ」と自分は思った。それは正しくない古い演奏かもしれない。
多くの人が音色の無いハイテンション弦を、ヴァイオリンの構造に沿わない響きのない硬い肩当てをもてはやす現代では、そんな格調や優雅さは求められない事かもしれないが・・・。

レッスンの指導としてはフランス風のクーラントとイタリア風のコレンテの両方でやります
流行りに沿うのは簡単ですが、自分にはどちらが正しいとは判断はできません