古い命が生き続けているのは〜広島の日

政治的発言は通常控えるようにしていますが、例年通りこの日は書かせて下さい。

広島の路面電車が広島駅の2階に乗り入れるようになったという数日前のニュース。その写真に651号の路面電車があった。

路面電車、JR広島駅ビル2階に高架で乗り入れ 全国初 被爆電車も | 毎日新聞
被爆80年を前に、広島電鉄の路面電車がJR広島駅ビル2階に高架で乗り入れる「駅前大橋ルート」が3日、開業した。大勢の市民や鉄道ファンが詰め掛ける中、広島原爆で被爆し、復興の象徴となった「被爆電車」も高架橋を走った。

これは被曝列車だ。爆心地から700mの距離で被曝し、爆風で脱線し熱線で焼け黒焦げになった車両。満員だった乗客は無事ではなかっただろう。その車両が修理を経て引退の危機も乗り越えて今も走り続けている。

世界は平和とは言い難い状況になってしまった。各地で紛争が勃発し、独裁者により経済は混乱し、地震や噴火が発生し、熱波が各地を襲っている。それにより失われた命も多いだろう。

古い命が今も生き続けているのは平和の証と言える。手元の古いヴァイオリン・ヴィオラ・弓。ヴァイオリン・ヴィオラは300年ほど前の、弓は200年ほど前のもの。何よりクラシック音楽自体が古い骨董品だ。ちょっとの事であっけなく絶たれてしまう命だ。

遠い昔に遠い国で生まれたこれらが、ここで生きている平和を考えつつ、この日を過ごしたい。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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