時間をかけて直す

土曜・日曜は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。大変な状況のところご利用頂いた方もおられ恐縮です。有難うございます。

今回はレッスン室の電子チェンバロの上にオールド楽器を載せていた。それから普段あまりレッスンでは使うことのないオールドヴァイオリン2にてレッスンを。

これをご覧になり、ある方には「これは何を?」ある方には「ヴァイオリン替えたのか?」とご質問を頂いた。

これはヴィオラですが、オールドヴァイオリン1も弦を緩め放置

数日前まで続いた雨による高湿度状態を利用してオールド楽器の変形を直していたのでした。と言っても、やることは弦を緩めて放置するだけ。木材は吸湿することで元の形状に戻る。弦のテンションがなければ乾燥してもその状態を維持する。この性質を利用して、長年の変形を少しずつ直そうと。

そんなことで変化するのかと思われるだろうけれど、弦楽器専門店でも湿度を利用した修復は行われる。楽器店では楽器を解体して、より積極的な方法で行う。

毎年梅雨時や長雨の時に行うが5年もするとかなり変化が見られる。長年放置されていたようなオールド楽器はやさぐれたような見た目の表情をしているし、音もひねくれている。それが、見た目も変わってくるし、音も健全になる。捨て猫も飼い猫にして愛情をかけると良い表情になるような感じ。

レッスンでお越しの方を慌てず年単位で成長させていくのと同じだが、オールドヴァイオリンを相手にするにはより一層慌てず10年単位で気を長く持つ必要も。普段いろいろ急ぎがちな自分ではありますが・・・。

※これは薄く作られたオールド楽器(300年以上前の楽器と思って頂ければ)以外には不要な措置です。大半の方には関係のない話・実践すべきではない話かとは思います。

左のオールドヴァイオリン1も現在弦を緩めて休ませ中
右のオールドヴァイオリン2は普段レッスンでの使用は少ないけれども現在絶好調
これも購入当初の20年前に比べ随分健全な音と見た目になりました