一気に円高が進んでびっくりしました。弦など安くなればいいけどなあ。
水曜・木曜は東京にてレッスン。ご利用・お越し頂いた皆様有難うございました。水曜夜は危険を伴う雨。ご予約頂いていたレッスンはお休みになられ、むしろ賢明な判断と私としては胸を撫で下ろしました。災害級の悪天候の時は決して無理なさらないようになさって下さい。
妙な話を書きます。自分はオカルトは信じないし、無宗教です。けれども一部の物には音楽を生み出す力が備わっているなあと実体験として思います。「チェリーニのヴァイオリン」は単なる伝説ではないと自分は思います。
手持ちのドミニク・ペカット。2017年に購入し、並外れて良い弓と言えるものの、伝説に聞くような妖しさが少なくそこが不満だった(自分はわがままなのです)。
ストラディヴァリとグァルネリの関係、あるいは日本刀の正宗と村正の関係と同じく、トルテとペカットは陽と陰の関係だ。妖刀村正が血を求めるようなもの。ペカットは陰の力を持っていないといけない。あるいはよく言われるようにジャジャ馬でないといけない。
「良い楽器」の上をいく名器や名弓というのは自ずから人間を操って音楽を作り出す力があるものだ(意味不明でいいです。でも多くの演奏家が言及することです)。ペカットはグァルネリと同じく陰の方向に音楽を引っ張る力がないといけない。「健全なクラッシック音楽」とは異なる妖しい音楽・心を惑わすヤバい音楽。むしろそれこそが音楽とも言える。
これが生み出せるように弾き方を含めかなり努力してきたが他の弓に比べて今一歩が足らない。その理由で手放すことも考えていた。
で、思い立って修復家の行う方法でクリーニングしてみることにした。古いヴァイオリン・弓は相当に汚れているもの(タバコのヤニも相当付着しているように思えます)。クリーニングはこれまでも行っていたが、今回は隅々まで丁寧に。もちろんオリジナルの状態を壊さないよう事前に紫外線ライトなどで仔細に観察して。
結果として、フロッグのアンダースライドの汚れが意外と音に影響があった。ボタンとスティックの接点も影響があった。各接点には潤滑剤を塗り直し、松脂もスティックの響きに合わせて多めに塗った。
完全とは言えないものの音の魔力と音楽を引っ張る力が増えた。レッスンでご要望を頂いたサラサーテ「序奏とタランテラ」の練習を始めたが、弓が音楽を思いもよらぬ方向に導いてくれる(意味不明な頭のおかしい人に捉えて頂いていいです。でも多くの演奏家が言及すること)。これでこそペカットと言える妖しい弓になった。ヤバい弓になって安心した^^。
