自分の車は夏の昼間は不向きなのでレンタカーにて栃木に出かけた。VWゴルフ。2年ほどかかって実現した。ゴルフは全ての自動車の規範のひとつであるしドイツの象徴でもある。
自動車はその国の文化を強く反映する。「音楽はその国の空気の中でしか存在し得ない」仮説を立て、この3年ほど機会あるごとに、その国の文化を体験できる自動車で様々な音楽も聴いて確認を繰り返している。「音楽を成立させるバックグラウンド」は我々日本人が外国の音楽を演奏する意義にも繋がるので、自分としては重要な問題と考えている。
また多くのヴァイオリニストよりもヴァイオリンの名品に多く深く接してきて、ドイツの音楽にイタリアのヴァイオリンにフランスの弓の組み合わせが良いとされる事。変なことと自分は思ってきた。「文化なんて気にせず、高い道具を使って、正しい音程で強い音で弾けばいいんだよ」な演奏。そんなのが演奏だろうかと長く思い続けてきた事だ。
結論的にはゴルフの中ではドイツ音楽だけが存在し得た。ベートーヴェンもモーツァルトもブラームスも似合う。けれどもパヴァロッティの歌うイタリア歌曲は、似合う似合わない以前に音すらあまり聞こえない。車自体はとても静かなので、音量の問題ではなくその空間の中に存在し得ないのだろう。イギリス音楽もフランス音楽も浮わついて聴こえた。
オーディオ機器のようなもので、グラモフォンが合う機器、EMIが合う機器、といった感じに似ているとも言えるし、ホールによって音楽が生きたり死んだりすることにも似ている。楽器も必ずしもドイツ音楽にイタリアの楽器やフランスの弓が似合うわけでもないと感じる。
その土地の空気が言葉を作るのと同じで、土地の空気が音楽や楽器を作る。逆に言うと適切な場がなければ音楽は生存できない。概ねそのように結論づいたかな。

自宅前にてVWゴルフ。イギリスの自動車番組TopGearで示される通り
「面白みはないが不満もなく必然を満たす道具」でした
全てがきちんと作られている車だったものの、予想と違って疲労感が大きかった。栃木の古墳が目的だったのだが(古墳は自分の趣味:古墳の周辺の景色や土地の食べ物は日本の姿を知れるので面白いです)、ひどく疲労したので止めた。代わりにスーパーやJAの農産物直売所、道の駅で土地の食べ物を。以前からの印象通り栃木の食べ物は美味^^。
元気な気持ちで目的地に到着できなかった事。コンサートを聴きに行って3楽章くらいで食傷気味になって早く終わらないかなあと思うのと同じような残念さだった。これが世界標準の車だとすると移動手段としての車の機能を果たしていないのではと疑問にも思ってしまいました・・・。

「きゅうりの佃煮」なんて初めて見ました
自分で作りたいと思うくらい美味しかったです