AIによる今ここで演奏されている音楽

概ねヴァイオリンのお話ではありません。でもヴァイオリンに限らず音楽全般に共通する話題だと思います。

5月13日にApple Logic Pro 11が配信されると!とても楽しみにしていたのです。アメリカ時間だったようで結局ダウンロードできたのは14日。新機能のSession Playerに最大の期待。

“Session Player”はAIによって名プレイヤーの演奏を学習させ「複雑さ」「強さ」などの要求に応じて演奏を生成するもの。例えば「複雑さ」「強さ」を変化させると毎回異なった演奏が返ってくる(chat GPTに処理させた返答のような感じです)。これは面白い!プログラムされた演奏ではなく、今ここで演奏をしているのだ!

これまでコンピューターによる演奏はパラメータに応じて毎回同じ答えが返ってきたのに対して大きな変化だ。すなわち一期一会の生きた演奏なのだ。

今のところ、実装された機能はドラム・ベース・ピアノだが、ギターやキーボードへと広がるだろう。クラシックのヴァイオリンの世界では基本的に毎回同じ演奏が求められ、わずかな差異で名演奏かどうかが決まる。それと同じ事は遠くない将来可能になるだろう。

AIによる楽曲作成も始まりつつあるし、演奏もAIが名演奏をしてそれによって感動できる音楽になった時に音楽家は存在し得るのだろうか。

自分は・・・。かなり前から音色にこだわってヴァイオリンに接してきた。演奏方法についても楽器についても、音色については多くの要求に答えを出せる自信はある。それがコンピュータに実装される事はほとんど不可能じゃないかな。

ヴァイオリンの音色には味覚で言う「旨み成分」が必要と思う。物理モデリング音源の音色には注目したが似ても似つかぬ音だった。サンプリングは生に似せるほど無限の情報量が必要で論理的に無理じゃないかなあ・・・。単に「甘い」「辛い」などではない部分で、そこが生音の生きる道だと信じている。