GW企画3日目:習っている曲の自筆譜を見てみよう

文学者の直筆原稿を見ると実際の人柄を感じ取ることができる気がします。例えば太宰治の自筆原稿はイメージにあるような破滅的・無頼派な雰囲気ではなく、とても読みやすい字で記されています。

音楽も同様で、自筆譜から作曲家の人柄が伝わる気もします。例えばバッハ無伴奏の自筆譜は有名で、ともすればアートのように扱われますし、バッハの人柄を推し量ることもできる気がします。

バッハ無伴奏の自筆譜です。ガラミアン版の楽譜に全曲の自筆譜が掲載されています
自筆譜から作曲家の意図を読み解こうとします

研究者でない者が自筆譜を見て何が分かるというものではないかもしれません(その目的なら原典版の方が確実です)。けれども求められる音楽や音色をイメージできればプラスになり得ると思うのです。

ではレッスンで習っている曲の自筆譜を見たことがあるでしょうか。無料楽譜サイトのIMSLPで少なからず見ることができます。

ヘンデルのソナタ。レッスンで習うことの多い4番の自筆譜はこちらから見ることができます。

https://vmirror.imslp.org/files/imglnks/usimg/d/d4/IMSLP72699-PMLP13605-Handel_D_Major_001.pdf

ダウンロードできるまで15秒IMSLPからのご案内を読めと表示されるかもしれません。15秒待てばダウンロード可能になります。

ヘンデルのスマートなイメージと異なって、結構グチャグチャ。テレマンに並んで当時一番売れっ子のひとりだったためか急いで書いたのかもしれません。

モーツァルトヴァイオリンコンチェルト5番の自筆譜は下記URL。スコアです。

http://conquest.imslp.info/files/imglnks/usimg/0/0b/IMSLP292795-PMLP03126-Mozart_-Concerto_di_Violino-k219-.pdf

モーツァルトのコンチェルトは若い頃の作品ですが極めて整然とした楽譜です。下品な手紙を書いていた人物とは思い難いくらいの整いぶりです。

知っている曲の自筆譜を検索してみるのも発見があるかと思います。ぜひお試しください。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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