水曜・木曜は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。
X(旧Twitter)やBlueskyにも書いたが、現在開催中のTarisioロンドンオークションで注目しているヴァイオリンがある。ロット59のA VIOLIN, ASCRIBED TO GIUSEPPE GUARNERI ‘DEL GESÙ’, ASSEMBLED BY JOHN LOTT, LONDON, c. 1850だ。

グァルネリ・デル・ジェスのコピーとされるが、昨日の段階ではBY JOHN LOTTになっていた。ジョン・ロットにしてはとても精巧で真に迫っているコピー、動画の音もデル・ジェスの特徴があると昨日のXに書いた(よくあるジョン・ロットのコピーはもっとチャチ)。今朝になったら上記のASCRIBED TO GIUSEPPE GUARNERI ‘DEL GESÙ’に表記が変わっていた。
とても面白い。ヴァイオリンは鑑定ひとつとっても簡単に答えは出ないから。もちろん演奏も答が簡単に得られるものではない。答めいたものを簡単に言える人の方が不勉強な人だ。
このレベルのコピーを見て名前だけで分かった気になって「デル・ジェスのニセモノ?ふーん(と冷ややかな目)」なんて態度では素人。逆にホンモノとされている楽器も境界領域のものも少なくない。真贋とは文字情報で判断できるものではなく自分の五感を使って合理的判断をしてのものなのだ。小林秀雄の「真贋」そのもの。
楽器だけではなく。話題の演奏家でも話題性だけでつまらない演奏をする人もいれば、知られていない演奏家も素晴らしい演奏をする人もいる。これも情報を聞いているのか演奏を聞いているのか自分で判断すべきこと。
このヴァイオリンここ数年来最大の関心を持って見ています。競り上がり具合や落札価格が楽しみ。かなりの高値になるか出品取り消しになるかと予想しているがどうだろう。

例えばうちのよく分からないけれども面白い楽器
「そんな怪しいものを買うより確かなものを買いなさい」と思うあなたは
むしろカモになって騙されやすい人です