「聞く力」はすっかり色褪せてしまいましたが、楽器演奏の「聴く力」は健在です。
上手く演奏できない方に多く見られる問題として自分の音を聴いていないことがあります。自分の音を聴くには演奏に余裕が必要ですし、聴こうとしなければ聴こえないものでもあります(カクテルパーティ効果ですね)。
自分の音が聴こえるためには。
まずカイザー、クロイツェル、ローデといった練習曲をできるだけ早いペースでとにかく進めます(進める事自体がかなり負担で挫折しやすいですが)。これらを2巡3巡することで少し余裕が出てきます(都度きちんと仕上がってくる方は2巡3巡は不要な場合もあります)。
演奏する曲は暗譜をします。暗譜できれば音色や微細な表現をする余裕が生まれます。暗譜をするためにもカイザーなどの練習曲の蓄積は必要で、ヴァイオリン音楽で頻用される「常套句」を多く知っている事で暗譜可能になります。
「たちどころに名人のように弾ける魔法」をお話できれば素敵かと思うのですが、残念ながら上手く弾くための近道は無いと思います。でも回り道をしない方法はあって、それはこういった地道な底上げだろうと思います。当たり前のことのようで申し訳ないのですが・・・。