聴く力

「聞く力」はすっかり色褪せてしまいましたが、楽器演奏の「聴く力」は健在です。

上手く演奏できない方に多く見られる問題として自分の音を聴いていないことがあります。自分の音を聴くには演奏に余裕が必要ですし、聴こうとしなければ聴こえないものでもあります(カクテルパーティ効果ですね)。

自分の音が聴こえるためには。

まずカイザー、クロイツェル、ローデといった練習曲をできるだけ早いペースでとにかく進めます(進める事自体がかなり負担で挫折しやすいですが)。これらを2巡3巡することで少し余裕が出てきます(都度きちんと仕上がってくる方は2巡3巡は不要な場合もあります)。

演奏する曲は暗譜をします。暗譜できれば音色や微細な表現をする余裕が生まれます。暗譜をするためにもカイザーなどの練習曲の蓄積は必要で、ヴァイオリン音楽で頻用される「常套句」を多く知っている事で暗譜可能になります。

「たちどころに名人のように弾ける魔法」をお話できれば素敵かと思うのですが、残念ながら上手く弾くための近道は無いと思います。でも回り道をしない方法はあって、それはこういった地道な底上げだろうと思います。当たり前のことのようで申し訳ないのですが・・・。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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