ヴァイオリンの世界でもいろんな人がいろんな指導をするものです。それはどれも間違ってはいないのですが、やるべき事は人として普通のことを普通にです。ともすればその視点に欠けた極端な指導をされるケースがあります。
ヴァイオリンの操作は本質的に難しいものではありません。難しい道具が500年近くも生き残る可能性は極めて低いです。ひとつひとつの動作は単純で人間の動きとしても理にかなっています。実際、名演奏家の筋電図を取ると全然力が入っていないとよく言われます。
部分を示せばいくらでもポイントはあります。指先が、手首が、足がと部分に注目して様々な事が言われているのも承知しています。けれども、やることは結局のところは全体を見た時に人間として普通であること。ポイントで示すのなら「極力末端ではなく身体の中心から動かす」が良いかもしれません。
普通である事は最も難しいことかもしれません。でも上手く弾く秘訣があるとすれば「今やっている動作が普通か」を考え続ける事だろうと思います。クラシック音楽は長い歴史の中で淘汰されてきた普遍性に価値があります。それを壊す弾き方はクラシックではなくなってしまいます。