弾き方は普通でいいから

ヴァイオリンの世界でもいろんな人がいろんな指導をするものです。それはどれも間違ってはいないのですが、やるべき事は人として普通のことを普通にです。ともすればその視点に欠けた極端な指導をされるケースがあります。

ヴァイオリンの操作は本質的に難しいものではありません。難しい道具が500年近くも生き残る可能性は極めて低いです。ひとつひとつの動作は単純で人間の動きとしても理にかなっています。実際、名演奏家の筋電図を取ると全然力が入っていないとよく言われます。

部分を示せばいくらでもポイントはあります。指先が、手首が、足がと部分に注目して様々な事が言われているのも承知しています。けれども、やることは結局のところは全体を見た時に人間として普通であること。ポイントで示すのなら「極力末端ではなく身体の中心から動かす」が良いかもしれません。

普通である事は最も難しいことかもしれません。でも上手く弾く秘訣があるとすれば「今やっている動作が普通か」を考え続ける事だろうと思います。クラシック音楽は長い歴史の中で淘汰されてきた普遍性に価値があります。それを壊す弾き方はクラシックではなくなってしまいます。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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