印税通知書と魂柱・駒の材料

土曜・日曜は東京にてレッスン。多くのご利用&お越しを有難うございました。

拙著「まるごとヴァイオリンの本」の電子書籍版の印税支払通知書が青弓社さんから届きました。著者側からは売れ行きは分からないし、売れない商品は多くの人に迷惑をかけるので、売れ行きは気になるもの。10年前の書籍を今もなお、お求め頂けていると分かり嬉しく安心しました。紙の書籍版も含めてお求め頂いた皆様有難うございました。

月曜は久しぶりにX(旧Twitter)を更新。ヴァイオリンの材料のうち魂柱・駒について。魂柱はスプルース材、駒はメイプル材が用いられ、これは表板:スプルース、横裏板:メイプルの関係と同じだ。

ヴァイオリンを演奏する方も含め多くの人には材料なんてどうでもいいことかもしれないが、私は一見離れた部品に同質の材料を使う関係性を興味深く思う。音響的な損失を最小限にしつつ最大限の振動を得られるようにした工夫の結果が垣間見える。

例えば、弦からの振動はまず堅いメイプルに伝わる。これが柔らかいスプルースだったらその時点で大きな損失になってしまう。損失を減らすには例えばギターや三味線のように駒は象牙でも良かったはずだがメイプルに落ち着いた。これだけでも先人の試行錯誤が眼に浮かぶ。

先人の努力の積み重ね。それが現代のヴァイオリンの姿であって演奏側も理解しておきたいことだ。その理解があればヴァイオリンの音響設計に沿わない材料や構造のアクセサリーを選ぶ無意味さも分かりうると思う。さらには楽器のみならず演奏の善し悪しも判断できることにもなる。

長い歴史の中での取捨選択の結果、ヴァイオリンは構造的に美しいものに進化したと伝える事ができれば嬉しいと思うのです。それが美しい演奏にもつながると考えています。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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