自分の寿命のひとつの節目を56歳に考えている。祖父がその年で亡くなったためだ。一生の願いは可能な時にできる時に早めに叶える。買いたいものは早めに買う、行きたいところには早めに行く。これらは努力してだいぶ叶えられた。心残りはそれほどなく死ねそうだ。
片付けるものは早めに片付ける。これは思ったように進んでいない。
以前からの計画で40歳までは興味を持ったものを買い集め知見と実体験を増やし、そのうち取捨選択し50歳までには自分にとって必要なものだけを残す「終活」計画。コロナで3年ほど計画が遅れてしまったが、順次進めようとはしている。
手持ちのエレキベースのうち1本を委託販売に出しにお茶の水へ。これでエレキベースは1本だけになりエレキベースについてはもう迷わなくて済む。

委託販売に出したのはFender1962年ジャズベース。
王道中の王道。10年前に買ったもの。

ボディはリフィニッシュですが年月を経た貫禄のヘッド
ヴァイオリンを含めてうちでは楽器は同じような経緯をたどる。あれこれと試してそのうちいくつかを買ってみて、自分にとって役割の終わったものは少しずつ手放してと。求められたりすれば譲るが基本的には自分の手で処分までする。
エレキベースもリサイクルショップで5000円で買ったfresherのパチもんベースから始まり、Tuneの6弦や国内個人メーカーのG’7 specialやFullertone(全然悪い楽器ではなかったけど、古いFenderに比べ味に欠けた)、G&Lの超強力なアクティブベース、Fenderの1970年のムスタングベースも手を出した。懐かしいね。ヴァイオリンの選び方にも通じるとても多くのことを学んだ。
結局、誰もが言う通り王道の古いFenderの1962年と1964年に至った。弾き比べては3年ほど迷った結果そのうち64年を残すことにした。ようやくベースに関しては一生物が決まった。もう買うことはないだろう。

生存競争の淘汰に勝ち抜いたFender1964年ジャズベース
こちらはいわゆる剥ぎナチュラルだがピックアップやポットがオリジナル
そこが音の味わいの差になるのかもしれない
お金に困っているわけではない。むしろ古いFerderの相場が上がり過ぎていることを懸念している。
10年前に比べFenderの相場は倍だ。買値が79.8万円今回の委託販売の値札で158万円(ピックアップなど部品の交換あり骨董価値が低くこれでも比較的安価。もちろんここから税金や手数料が引かれるので手元に残るのは114万円)。
投資としては大成功の景気の良い話のようであるし、待っていたらもっと上がるかもとなる話だが、値段が上がりすぎると流動性が低くなりむしろリスキー。資産価値はあっても売りたい時に売れないことこそリスク。不動産と同じだ。もちろんヴァイオリンとも同じだ。
お店の方のお話では100万円を超えると動きにくくなるのだそう。けれども、骨董価値の低さは気にせず音の良さを求める若いプレーヤーが少し無理をして頑張って購入なさるケースもあるのだそう。そんな方のもとに行って素敵な音楽を多く生み出してほしい。