モーツァルトは何もしていないかのように弾く

X(旧ツイッター)での毎日のお話をこちらに移してくることにしました。

モーツァルトのコンチェルト。簡単だと音大生あたりが言うのはナメているとしか言えずSクラスの難易度です(ヴァイオリンコンチェルトで最も難しいかもしれません)。子供かあらゆることを経験した老演奏家が良い演奏をするとも言われます。

モーツァルトは演奏者があらゆる事を考える必要はありますが何もしていないかのように弾かないといけません(と私は大人になってからおじいちゃん先生に習いました。究極の指導です)。これがどれほど難しいことかは経験が増えるほど、できることが増えるほど分かることでしょう。

ロマン派のように弾いては問題外。演奏者が出しゃばっては音楽が壊れる。ヴァイオリン音楽みたいに弾いてもダメ。素材が良すぎる曲は演奏者の余計な仕事は邪魔にしかならないのです。小手先の小細工は一切受け付けてもらえません。

私自身は達観できる程の人生経験はなくもちろん分かっているわけではありません。でもレッスンでもそういう風に進めた方が確かに良い演奏になります。そしてモーツァルトのあまりの才能にも都度圧倒されます。

ベーレンライターの楽譜。最小限の指示しか書いていません。
古い楽譜のようにあれこれ書いておらず、これこそ分かった人の校訂なのでしょう。
なおカデンツァはかなりいろいろ書いてあります(ヨアヒム自身の指示かは不明です)。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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