火曜・水曜は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。雨が降ったり止んだりで不安定な天気。日曜・月曜の愛知レッスンに台風の影響も出そうで心配しています・・・。
レッスンにて楽器の歴史的変遷の話題になった。演奏に重要な事なので、つい必要以上に語ってしまった。まとまらない話にもなり、しゃべりすぎにもなり失礼致しました。
ヴァイオリンに接する際に楽器の大きさや弓の長さに疑問を持つ人は少ないだろう。なぜこの大きさなんだろうか?なんて考えたこともないかもしれない。なぜフレットが無いのか?なぜこんな形状なのか?そんなこと考えなくてもそこそこには弾ける。

左:ヴィオラ(小型)、右:ヴァイオリン(やや大型)
サイズが大きければ低音が出るのが当然といった単純思考は上達の妨げです。
必然性を満たすために楽器は様々な工夫がされています。
「良い音で巧みに弾く」は楽器を理解することでもある。楽器への理解があれば自ずからどのような力加減で弾いたら良いのか、どういう発想で弾いたら良いのか、と答えに近づくことができる。
ヴァイオリンなどの弦楽器も歴史の中で様々な楽器が生まれては淘汰されていった。様々な生存競争に勝ち残ってきたのが現在のヴァイオリンなのだ。
歴史の長くないアコースティックギターの方が分かりやすいのでこれを題材に考える。チューニングは同じだ。

左は現代の標準的なサイズ、右は100年ほど前の標準サイズ

胴体の厚みもこれだけ異なる。重さもかなり違う。
これだけ大きさの異なるものを同じように弾いてもうまく音は出せない。一方は力を入れてピックでガンガン弾く音楽スタイルに沿ったものだが、他方はそういう弾き方は前提にしていない。
ヴァイオリンでも同じことが起こる。ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロと求められる音域に応じて胴体の大きさや厚みが異なるし、ヴァイオリンの中でも少なからず異なる。物理的な違いがあるものを同じように弾いても上手く音は出ない。ヴァイオリンの弾き方でヴィオラを弾いてもヴィオラらしい音は出ないのと同じことだ。
ヴァイオリンは真ん中2本のD線・A線が無理なく音が出せるようにできているし、よくできたものならG線やE線もある程度音が出せる。その感覚を掴むには、固い木材の塊を引っ掻くのではなく、ボックスティッシュのようなボール紙の箱をポンポンと音を叩く程度の力加減が良い音が出る加減が分かりやすい(良いオールド楽器はボール紙のような感触ですし、1600年代以前の楽器はその感触がより強いです)。
歴史の中のニーズを反映してきたヴァイオリン。それに沿った弾き方をするべきなのだ。