やっちゃダメなことをやってみる:松脂しこたま塗り付け

火曜・水曜は東京にてレッスン。火曜の日程満員御礼になりました。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。

ヴァイオリンの世界にもタブーがある。「とにかくやっちゃダメ」とされること。その実際の理由や結果は明確ではない。そのひとつ「松脂はゆっくり塗らなければいけない。急いで塗ると松脂が溶けるから」というもの。

「ゆっくり塗るべき」の意見を採用してはいる。弓を勢いよく動かすことで破損させたり他人を怪我させたりするリスクを避けるため。

ただ自分は物分かりが悪いので理由には疑問を持っていた。接点は熱を持つかもしれないがたちまち弓の毛や松脂自体によって冷却されるはずだ。

で、実際のところどうなるのかやってみた。近日中に毛替え予定の弓2本で実験。同じ楽器店の同じ種類の毛を張った2本。力を入れてものすごい勢いでヒルの松脂を塗りつける。普段より分量も多くなる。

親の仇を討つくらいの勢いで塗りつける
(危険なので真似はしないで)

結果。

単に多く松脂を塗ったというだけの結果に。松脂自体は多過ぎだが、勢いよく塗ったことによる大きな変化は認められなかった。熱やアルコールや毛の松脂を溶かした時とは違う結果になった。ただ2本で音色は異なり、一方(1880年頃の弓)は好ましい音に、他方(1830年頃の弓)はそれほど好ましくない音に。多く塗った方が良い弓とそうでない弓があるのかもしれない。その後も普通に松脂を塗って普通に使える。

昔の松脂だと問題が生じたかもしれない。質の悪い松脂だと生じることかもしれない。けれども少なくとも最新の松脂ではほぼ問題なかった。推奨はしませんが何でもやってみるものですね。