土曜・日曜は東京にてレッスン。ご利用&お越しの皆様有難うございました。私の側はいまだに咳が残っているし多少疲れやすかったりしていますが、とてもよく寝ているためかレッスンは大変積極的にできています。その点でもコロナに罹患した結果10年分くらいは若返った感じです^^。
世の中インフレ花盛り。とは言え為替レートは以前のような150円/ドルよりはだいぶ落ち着いているし、景気減速により近々インフレは落ち着くのではないだろうか(製品品質も下がると思うが)。一方、ヴァイオリンの世界はデフレ傾向。
弦楽器オークションでのヴァイオリンや弓の落札価格に注目している。弦楽器オークションではTarisioオークションが有名だ。下記URLのサイトです。
以前よりもオールド楽器が値下がりしている印象だ。モダン楽器も以前ほど冴えない。
例えばロンドンでのオークションでのストラディヴァリも競り上がることなく100万ポンドで落札された。同オークションでのフィオリーニは16万ポンド、ジュール・フェティークの弓が32,500ポンドと高いが、ニューヨークでのオークションでのビジャッキは5万ドルにしかならず、ドミニク・ペカットの弓も3万ドルにしかならず流札になった。ベルリンでのオークションのファニョーラも95,000ユーロと意外な安さ。一方、ヴィヨームは25万ユーロと高い。
以前と音楽の価値観が変わってきているようにも思える。音楽をする道具として優れているのはオールド楽器と思うが、そもそもオールドの味わいを知る人が少なくなってきているのだろう。オールドは音程が取りにくく扱いにくい楽器も少なくなくその点でも不人気かもしれない。中国の景気減速のためかヴァイオリン属の楽器は投資対象から外されつつあるのかもしれない。多様性の時代になりスターが必要とされなくなったのかもしれない。
自分自身は・・・。オールド楽器がやはり良いかな。古いからではなくブランドでもなく楽器としての構造が優れているから。うまく音が出るようにあらゆる叡智が注ぎ込まれたのがオールド楽器だ(従って古いだけの楽器は自分はいらない)。
願わくば、1500年代のヴァイオリン黎明期の楽器、トルテ以前の良質なバロック弓が欲しいかな。以前、ガスパロ・ダ・サロをお借りしたことがあったし、トルテスクールのバロック弓を試させて頂いたこともある。たとえ、懐古趣味な時代遅れなセンスと言われようと音楽をするのに優れた道具であるこれらが安く買える時代が来るのなら嬉しい。

オールドヴァイオリンの価格が下がっているとしたら、
全財産を費やし魂を売ってでも音楽に情熱を注ぎ込む人が減った証左かもしれない
いささか寂しいことではあります