音楽を「楽しい」と強いてはならない

水曜・木曜は東京にてレッスン。ご利用&お越し頂いた皆さま有難うございました。ピロリの呪いがまたぶり返し、左手は痺れ、右腕は痛く、気分も落ち込んでいたのですが、いつも通りのレッスンができていればと願っております・・・。痺れや痛みの解消に温泉行かなくちゃ。

レッスンにお越しの方と、3ヶ月前に購入したアルファロメオ4Cのお話になった。イタリア車の強い主張について、ひいてはヴァイオリンについて、音楽についてのお話に。

イタリア車は乗り込めばなぜか楽しい。走ればなお楽しい。良し悪しは別にして、日本車やドイツ車のように「車に乗り込んだだけ」と言うものではない。ご興味があればレンタカーなどでフィアット500を借りてみてはと思う。車内に入ればなぜか気持ちが華やぐ←なぜそうなるのか不思議です。

ところで、音楽は「音を楽しむ」と書く。ひいては音楽は楽しいものなんだと時に言われる。この考え方について長年疑問に感じていて「強制された喜び」に似た感覚を持っていた。「楽しいものなんだから楽しめ」と。

どうも違うと思う。イタリア車が楽しいのと同じで、イタリアの音楽は概して「楽しい」。でもドイツの音楽は「楽しい」とは違うようだ。バッハが建築物に例えられるように、建築物のように壮大な、と言った感情は持つがいわゆる「楽しい」ではないように思う。

どんな対象にでも楽しむのは勝手だが、教える側が「楽しいもの」と誤解して強制してはいけない。本質的に楽しくないものを「楽しい」と思っては、全く違う方向に誘導してしまう。教える側がやるべきことはルールをきちんと伝えることであり、「楽しいよ」と強いることではない。

音楽でぼんやり考えていたことだが、いろんな国の車を体験して確信したことだ。車を楽しみたければイタリア車を、音楽を楽しみたいのであればイタリアの音楽の演奏をお勧めしたい。ヴィヴァルディ、コレルリ、ヴィオッティ、パガニーニなど。演奏側が聴き手を楽しませようとすれば曲の側がそれに応えてくれる。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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