お譲りするヴァイオリンの整備

土曜日は東京にてレッスン。8コマと大盛況でした^^。ご利用お越し頂いた皆様有難うございました。遠方からお越しの方もおられ、お待たせして申し訳ありませんでした。

お譲りする100年ほど前のモダンイタリーのヴァイオリンの整備を進めている。自分で使用していたため、これまで掃除も整備も重ねてきて充分良い状態と思うが、細かいチェックは必要だ。素人作業だが自分にできる納品前整備を行ってお渡しする(お譲りする楽器は全部この程度のことはやっています)。

顎当てを外して割れのチェック。ブロック周辺に生じやすい割れは無し
f字孔に修理済みの割れがあるのみ
顎当てを外したついでに全体をポリッシュで磨いた
小傷は目立たなくなるし、音色も良くなる

f字孔の割れ
少し力をかけてたわませでも隙間は開かないので修理済みのようです。

少し曲がっていた駒をしばらく逆に傾けて修正(写真は修正後)
駒の傾き具合や位置も調整
位置は当然のことながらほんのちょっとの傾きでも音色に大きく影響が出ます

弦高は5.2mmで自分にはやや高いが正常の範疇
弦高は弾き加減だけでなく音色にも影響が大きいです
自分はやや低めが音色の上でも好み

弦長323mmに対し駒〜テールピースが52.5mmで理論値より1.3mm短いが
胴体が短いためテールガットをこれ以上ネジでは調整できず
テールガットの長さは思った以上に音への影響があります

アジャスターに注油。鉛筆の芯ではなく楽器店と同じくごく少量のグリスを塗ります
動きを滑らかにすると音色も滑らかなツヤのある音になります

顎当ての位置調整。顎当ての位置も音に少なからず影響を与えます
とりあえずキンキンしないようやや右に
顎当てのネジの締め具合も音に影響します
自分が使っていた時はクローソンの顎当てを付けていたのですが、
さすがにローズウッドのクローソンは貴重でお譲りできずご容赦を

磨いたスクロール。整備とは関係ないが良い形状に彫り出してある。
やはり悪い楽器ではなさそうだ。

トルテで弾いてみたらホコリっぽい臭いが出てきた(これまであまり弾いたことのない弓で弾くと、振動していなかったところが振動して臭いが出るのだと思います)。ある程度古い楽器であることは間違いなさそうだ。

手持ちの新旧各弓で弾いてあげれば、概ね楽器は隅々まで振動できるだろうかと思う。

良い状態でお譲りできれば。そして気にすることなく楽しんで頂ければ。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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