良いヴァイオリンは魔法のヴァイオリンなのか?

先日の記事について補足です。千葉フォルニアは車が写っている写真で、下2枚は館山の海の写真です。レッスンで話題になって誤解を与えてしまったかなと心配になりました。失礼致しました。

火曜〜木曜は東京にてレッスン。2コマ+8コマ+5コマと水曜は大盛況でした^^。ご利用&お越し頂いた皆様有難うございました。

調べ物として聴いたオイストラフの弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(コンヴィチュニー指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のもの)やはり絶品。古い演奏だがこれ以上のは出てこないかなあ・・・。オイストラフの使っていた楽器はストラディヴァリとはいえ「凡作」と言われるし弓もリショームとニュルンベルガーとされ、さほどのものではない。

レッスンにて楽器の話題になった。「ストラディヴァリは良い音なのか?」「他の製作者の楽器と違いがわかるのか?」という趣旨のお話。摩訶不思議な伝説の多いトピックだ。高額商品は美辞麗句を並べ立てて商品価値を高める売り方をするものだ。情報に埋もれて実体が見えなくなってしまっているように思える。

音がどうなのかは「体験して感じ取った自分の印象で」が良いと思う。「感じた印象があなたにとってのストラディヴァリ」「その感じた印象が他の製作者と異なるかどうかもあなた次第」が最も適切な答えだろう。

私自身にとっては・・・。「個体差が多過ぎて判別不能」「良い個体は確かに本当に良く天文学的な価格も割安にすら感じられる」「同じレベルで優れた楽器はいくらか存在する」「ストラドは私の好みとは少し異なる」。だろうか。

楽器の名前で売る演奏家には私は賛同しない(私はつまらないことと思うので、使っているオールド楽器の名前をネット上で明かすことは基本的にない。弓は演奏技術や音楽の歴史に直結して面白いので公の情報として共有する意味があると思い明かすことがある)。

持ち物の性能がその人を引き立てることはあるだろう。だが持ち物のブランドがその人の価値を高めるわけではない(一時的にはあるかもしれないが)。オイストラフはそのことを典型的に示す人だ。旧ソ連の事情もあったとは思うが、結果的にオイストラフにとって魔法になり得る凡作のストラディヴァリやリショームやニュルンベルガーだったのだろう。そしてオイストラフにとってはどんな楽器でも良かったのだろう。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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