手持ちのオールド弓を活かす持ち方を試行錯誤

水曜・木曜は東京にてレッスン。7コマ+8コマと今週もとても多くの方にご利用&お越し頂き有難うございました。木曜はとてもきれいで気持ち良い青空でした^^。

ここのところ手持ちのオールド弓のひとつを主に使っている。ヤコブ・ユーリという知る人ぞ知る製作者のもの。

これは初めて購入したオールド弓で手元に来て随分長いが、この弓の能力を充分に引き出せていない感じがあった。その後、より有名な弓も入手し使っていない時期もあったが、改めてこの弓の能力を引き出す持ち方や弾き方を探したいと思い直した。

その弓を活かせる持つ位置は弓によって異なることは分かっていた。持つ位置を少しずつ変えながら試行錯誤。弓を持つ位置を弓先にして持った方が意識しなくても弓先で発音できる(良い弓は弓先でも圧力をかけずに発音できるものだが、この弓では長らくできなかった)。ただ、その場所はシビアで位置を誤るとかすれたり震えたり跳ねたりもする。指の深さや広げ具合も試行錯誤が必要だが、これまで気付いていた事より少しばかり多くの反応が返ってきた。

奇妙な持ち方だがこれくらい弓先を持った方がこの弓には良いようだ。
本質的にはバロック弓のようなものなのだろう。

ヴァイオリンの演奏を描いた古い絵画ではかなり弓先を持っていたり、逆にかなり弓元を持っているものもある。現代では持つ位置は大体決められているし、実際モダン弓ではそれでほとんど問題にはならない。ただ持ち方や持つ位置は共通ではなく、結局はその楽器やその弓がうまく響く加減なのだろう。

結局は音で判断をする他なく、音を聴かず写真を見て弾き方を評価できるものではない。ハイフェッツもクレーメルも変わった弾き方・持ち方だが、演奏は素晴らしいのでそれで良いと納得できるまで私は長く時間がかかった。この弓も持ち方に少し新しい事に気づくまで15年ほど。人生は短いですね。

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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