強い弓?堅い弓?〜弓の特性を示す形容詞

土曜は東京にて、日曜は愛知にてレッスン。7コマ+9コマと愛知は満員大御礼になりました。暑い中お越し頂いた皆様&ご利用頂いた皆様有難うございました。

今回も貸し切り状態の新幹線

弓の特性を表す形容詞について。「強い弓」「柔らかい弓」などの表現がある。悪い印象を与える表現を販売時に使われる事はない。「強い弓」と言われたら良いような気もするし、「柔らかい弓」と言われたらそれも良いような気がする。言葉の意味や言葉が示す良し悪しが分かりにくい事だろう。

対義語で示すのなら「強い・弱い」、「堅い・柔らかい」にだろうか。「強い」と「堅い」は違うし、「弱い」と「柔らかい」も違う。しかも使う人によっても意味が少しずつ異なるようだ。

「堅い・柔らかい」は曲げ剛性の違い、「強い・弱い」は楽器を響かせる力(弾力や弓の振動特性に依存する)の違いと捉えている。従って、「強いけれど柔らかい弓」もあるし、「堅いけれど弱い弓」もある。

「堅い・柔らかい」は弓の良し悪しにはあまり関係ない。ぐにゃぐにゃに柔らかいのに鳴らす力の強い弓もあるし(柔らかすぎる弓は扱いにくいですが、柔らかでも鳴らす力の強い弓は素質的に悪い弓ではありません)、堅いだけで楽器を鳴らす能力の無い弓もある。

ベストな弓があるとしたら、硬い・柔らかいの加減は中庸で、かつ、鳴らす力の強い弓と言えるだろうか。新作弓は玉石混交だが、オールド弓はほぼ確実に「楽器を鳴らす力の強さ」が値段に比例する。結局は「楽器を充分に鳴らす弓が良い弓」という事とも言える。

手持ちの鳴らす力が特に強い弓3本
部分ではなく全体の形状が整っているから適切に振動して
鳴らす力になるのだと思わされます

石田 朋也

1974年愛知県生。2000年名古屋大院修了。ヴァイオリンは5歳から始め、1993年よりヴァイオリンの指導を行う。大学院修了後、IT企業のSEとしてNTTドコモのシステム開発などに携わる。退職後の2005年より「ヴァイオリンがわかる!」サイトを開設し情報発信を行う。これまで内外の1000人程にヴァイオリン指導を行い音大進学を含め成果を上げている。また写真家としてストラディヴァリはじめ貴重な楽器を400本以上撮影。著書「まるごとヴァイオリンの本」青弓社

美しい音が好物。バッハ無伴奏がヴァイオリン音楽の最高峰と思う。オールドヴァイオリン・オールド弓愛好家。ヴィンテージギターも好み。さだまさしとTHE ALFEE、聖飢魔IIは子供の頃から。コンピュータは30年程のMac Fan。ゴッドファーザーは映画の交響曲。フェルメールは絵画の頂点。アルファロメオは表情ある車。ネコ好き。

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