湿度でヴィオラやギターの整備
土曜・日曜は東京にてレッスン。今回も多くの方にお越し頂きました。特に日曜のそぼ降る雨の中お越し頂いた皆様有難うございました。新型コロナウイルスはもちろん楽観視できませんが、よく食べてよく寝ての健全な生活こそが最大の予防になると思います(私はかつてシステムエンジニアで、その正反対の生活をしていたのでよく分かります)。どうぞ皆様ご自愛ください。
今年の東京は温度・湿度ともに比較的高い日が続いているのだが、昨日の雨による湿度を利用して楽器の整備。整備と言っても極端な事では無く普通に部屋の中に楽器を置いておくだけ。年末に購入したヴィオラを弦を5度ほど緩めて置いておいたし、別の部屋ではギターを出しておいた。
「楽器に湿度は厳禁」と短絡的に忌避されるのだが、大事にし過ぎる方が楽器には悪いと私は考える。美術品的な保全が目的なら変化が無い方が現状維持はできるが、そう考えるなら「ケースから出すのも人間が触るのもニスを傷める」「弦を張ったり演奏したりするのは負担がかかり変形する」となってしまう。いずれも事実に違いは無いが、私にはつまらないことに思える。
うちでは演奏する楽器として健全であろうとしているので、湿度についても常識的な範囲なら変化を問題視しない。むしろ自然な湿度変化はあった方が望ましいと経験上思う。それに自然の環境変化によるトラブルならいずれ生じる事だ。
半日だけでも楽器は結構吸湿するようで、レッスン後弾いたらヴィオラはクサかった(ホコリのようなカビのような臭いがf字孔から出る)。オールドヴィオラで吸水率は低いと思うが、何らかの加減で変化が起こり振動具合が変化したようだ。臭いが出るのはこれまで振動していなかった箇所が振動している事を意味する。楽器としては隅々まで振動している事が好ましいと私は考えるので、こういう変化は嬉しい事^^。
ギターは湿度の中に置いておくとチューニングのピッチが上がっている事が多い。手持ちのギターはマホガニーに黒檀の指板を張ってあるネックが多いが、木材は吸湿して膨張するのに対し金属のフレットは吸湿しないのでネックが逆ぞり方向に動くのだろう(バイメタルのイメージ)。結果として高かった弦高が低くなって弾きやすくなった^^。
楽器も科学で概ね予想通りの変化を見せた。もちろん楽器を扱う演奏も科学で再現性があるもの。こういう因果関係はかつて科学者や工学系の技術者になりたい時もあった自分としては嬉しい事です^^。