4の指を届かせるために~左手のフォーム

特に女性の小柄な方から「左手の4の指が届かない」とお悩みを伺うことは多いものです。手が小さいため小指を伸ばそうとしても適切な音程まで届かないといったお悩みです。

例えば、カイザー4番やクロイツェル9番などで低い2の指と4の指を押さえる場合に4が届かず音程が下がるケースです。これは練習量では解決せず左手の形(フォーム)で解決すべき問題です。

カイザー4番。小指が届かずミの音程が下がるケースは多いものです

手の大きな人にとってはあまり問題にならないことですが、小柄な方に対しても大柄な方と同じ左手のフォームに指導されている場合に問題が生じるようです。小柄な方にも「指を立てて押さえなさい」「親指を出しなさい」といった画一的な指導は無理を強いることになります。

手の大きい人にとっては、指を立て気味に押さえたり親指を出し気味にした方が好ましい場合がありますが、それは大きな手だからできること。フォームは定まった形ではなく体格に依存します。それぞれの体格の制約の中で美しい音楽ができるフォームが正しいフォームです。

届くはずの左手のフォームを

4の指が適切な音程で届いている状態
(写真はかなり小さな手の人です:手首から人差し指の先まで15cm)

左手のフォームや腕の位置関係の調整で4の指が届きやすくなることは多々あります。発想としては「指が遠く届きにくい位置関係では当然届かない」ということです。これが原因であれば近づければ届きます。当たり前のことですが当たり前のことを解決しないで「たくさん練習しなさい」と練習量の問題にされてしまうケースも少なくないものです。

手首を出すと指板から4の指の距離は遠くなり届きにくくなります

指を立て過ぎると指は開きにくくなります
肘も右側になり過ぎて特にA線E線で不利になります
指の細い方には音色面でも不利になるため指は立て過ぎない方が良いでしょう

親指が指板の上に出るほど深すぎると、親指に引っ張られ小指は届きにくくなります
肘も左に寄り過ぎになります

ヴィオリストのフォームも参考にして

ひとまわり大きいヴィオラを弾く際にはこういったフォームの工夫を要しますし、合理的に考えないと現実的に届きません。従って、ヴィオリストの左手の形は手が小さい方にとって大いに参考になります。あるいは機会ある時にヴィオラを弾いてみると届く手の形が身をもって分かります。

指の立て具合、親指の位置、手首などの形、肘の位置を確認した上で、カイザー4番やクロイツェル9番を使って適切な音程が取れるようにと練習なさってみてはと思います。案外あっさり正しい音程になるケースも多いものです。

ご参考にしていただければ幸いに存じます。