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19/12/24 クリスマスプレゼント:ただものではないオールドヴィオラ

クリスマスプレゼント:ただものではないオールドヴィオラ

土曜は東京にて、日曜・月曜は愛知にてレッスン。土日は7コマ+6コマと標準的なコマ数になりましたが、月曜は急遽お休みの方もおられ余裕の日程になりました。日曜は私の側が注意力散漫で申し訳ありませんでした。また月曜は空いた時間でレッスンでご要望頂いている曲の練習をしていました(追われるばかりなのが現実で、まとめて練習できて少し充電ができました)。お越し頂いた皆様有難うございました。

金曜は名古屋のシャコンヌさんへ。弦楽器フェアとシャコンヌさんの東京展示会で音に「!」と関心を持ったオールドヴィオラを再度試させて頂きに。札幌で時間をかけて検討なさっていた方がおられたそうでしばらくぶりの再会。

スクールものの扱い。スタイナーモデルでラベルもヤコブ・スタイナーだが年代まで印刷されてあって明らかに本物のラベルではない。見た目の上では悪くない楽器ではないものの、細部がイマイチで自然でなく二流の製作家によるスタイナーコピーだろうと思っていたが、改めて確認したかった。

一見すると、まあ普通のオールド(並品)です。ただ表板の木目はとても細かい。

スクロールは胴体に対して実にダサい。明らかに交換されているもの。

胴体の大きさは389mmと小型なのに最低音のCまで厚みと説得力がある音が出るし、音に艶と甘みがある。小型のヴィオラはもちろん420mm程のヴィオラでもこの低音は普通は出ない。試しに全部半音下げ(バロックピッチのA=415Hz)して弾いてもC線は響くし、むしろ半音下げの方が楽器全体がよく響く。他のオールドヴィオラと比べさせて頂いても豊かで上質な音。音の上では「これは買い!」とすぐに思った。

スクロールは交換されたものとすぐ分かったが、スクロールが違うオールド楽器は少なからずあり、普通の事。ところが、表板はパフリングの外側と内側の木目が合っておらず、パフリングの外側がほぼ全周交換されているようだ。部分的な加工はしばしばあるがほぼ全周というのは初めて見た(手持ちの書籍の中でアンドレア・アマティにそういうのがある)。裏板は木目の不一致は分かりにくいが、何か所か継ぎ目があって合わせ目もずれていて、これもパフリングの外側を何か加工してあるようだ。これが見た目の雰囲気が自然でなく見えた原因だったようだ。

パフリングの外側の木目が内側と合っていないし切れ目がある。

手が当たって減る所が何度も接ぎ木されて寄木細工のようになってしまっている。

裏板が継ぎ合わされて3重になってしまっている(何と器用なんだ)。
表板のハーフエッジは普通だが、裏板をこんなにされているのは見たことがない

パフリングの外と中で裏板の合わせ目がずれてしまっている。何らかの加工がされている

パフリングの外にパフリングが一部残っている。どっちがオリジナルか分からん(外側?)。

こんな面倒な加工は何か大きな理由とコストに見合うリターンがあって行われることだ。そこまで手間とコストをかけても使い続ける価値を見出した誰かがいたという事を意味する。サイズを小さくするなど大きな改造だろうか。それともヴィオラ・ポンポーサなどの古楽器だったのだろうか。

板を爪で軽く叩くと材料がとても枯れていることが分かる(年輪年代法よりも簡便だが年代判断の参考になり得る。数値化はしにくいが感覚としては結構正確)。他のオールド楽器のいくつかと比較させて頂くと相当に古い楽器のようだ。

音、スクロール交換の必然性、大改造の痕跡、材の古さ、これらを総合して考えると…。「あれ」なのでは?と思った(名前だけが独り歩きするのは好ましくないので、明言は避けます。ホラ話と思って下さい)。

シャコンヌさんの窪田会長とも専門書籍を見つつ、いろいろ教えて頂きながら、良い条件で譲って頂けることになったので、購入することにした(本当に有難うございます)。

オイドクサのヴィオラ弦を張ってみたら、特にC線とG線がヴィオラにありがちな鼻にかかった音では無く、SP盤の時代のチェロの音になった。かつて故玉置先生に時間をかけて習ったヴィオラ版のバッハの無伴奏チェロ組曲がとても重厚なアンサンブルになって聴こえるし、自然に音楽的な間の取り方ができる。シューマンの「トロイメライ」なんかが、とても味わい深い懐かしい音楽になる。

音の上でも骨董的な見どころの上でも10年に一度あるかないかの本当に面白い楽器を手に入れる事ができました^^。自分にとってはこの上ないクリスマスプレゼント(自分のお金で買ったのだが、こういうご縁は探してもお金があっても得られないもので、やはり賜るものと思います)。長い間楽しめそうです。

レッスンにお越しの方にはお試し頂くことができますので、ご興味があればお申し付け下さい。

 

 

 



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