ホーム >
日曜日の演奏で疲れ切って月曜日はボンヤリ、火曜日は汗だくになりながら実家の草むしりをしていました^^;。
先週のことですが、ロジェリとG.B.グァダニーニのヴァイオリンを楽器店で弾かせて頂いた(貴重な楽器を弾かせて頂き有難うございました)。ロジェリは1600年代後半ブレシャの製作家、グァダニーニは1700年代後半の製作家(あちこち移り住んだ製作家だが弾かせて頂いたのはパルマ)。値段的にはロジェリよりグァダニーニの方が高額なのが相場。
ロジェリ、グァダニーニともに別の楽器店でも弾かせて頂いた事があるが、逆の方向性の楽器と言っていい。ロジェリはアマティ的な派手さの少ない音色と、グァダニーニは大音量で主張の強いきつめの音と言える。普通の意味ではグァダニーニの方がソリスティックで「高額な楽器の音」と言え、その評価の高さもよく理解できる。
でも、自分にとってはロジェリの方が好きな音だった。単に地味な柔らかい音ではなく「琴線に触れる音」だったから。「琴線に触れる音」を別の言い方をすれば「妖しい音」「妖艶な音」でこればかりは演奏者の工夫では出ない楽器が作る音。
何がこの音を生成するのか分からないが、大きな音でがなり立てられても届かない音もあれば、小さな音でも心に突き刺さるような音もある。1600年代の楽器にはその音が備わっている事が多いと思うし、ガスパロ・ダ・サロやマッジーニなどブレシャの楽器にも備わる。更にはブレシャの影響を強く受けたグァルネリ・デル・ジェスも自分には好きな音。
値段は歴史の中での総体的な評価を示すので過小評価をしてはいけないが、比較的安価だけれども「とても古い楽器」や「ブレシャの楽器」も過小評価したくはない。「妖艶な姿が立ち上る音」こそが音楽を生き物にする大きな要素のひとつと信じる。
充分良いヴァイオリンを持っているのでこれ以上強く探し求めてはいないが、超古いブレシャのわけわからない楽器があればぜひ見たいなと思う(楽器マニアの方にはお分かりかと思いますが、製作者が明確で答えがはっきりしているのは「ただの正解」で、つまらないのです^^←でもニセモノは嫌いです。「わけわからないもの」と「ニセモノ」は全然違うものです)。