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木曜日は東京にてレッスン。夕方のレッスンでわたしの側が時間を勘違いしていて大慌てしてしまいました。大変失礼致しました。だいぶ春めいてきました^^;。お越し頂いた皆様有難うございました。
音楽を演奏することは「豊かな心」「豊かな人間性」の構築を期待するためもあるかと思う。うちのレッスンもその前提で行っているが、ふと「豊かな心」「豊かな人間性」とはどういうことなのか疑問に思った。その納得いく定義を調べていくうちに文部科学省のサイトに行き当たった。「豊かな人間性」とは下記のようなことのようだ。
・美しいものや自然に感動する心
・正義感や公正さを重んじる心
・生命を大切にし、人権を尊重する心
・他人を思いやる心
・他者との共生や異質なものへの寛容
あまりに明確でかつ哲学的で感動した^^。「正義とは?」「人権とは?」と連想が広がるが、哲学的な広がりが生じるのは好ましいことに思う。
そしてかつてのヴァイオリン教育は残念ながらこの全く逆の結果になってしまっていたとも(非常識な音楽家に接した経験のある方はお分かりになるかと思います。分からない方は分からない方が幸せかもしれません)。ヴァイオリンは上手くなっても狭く貧しい心を育てることになってしまったケースは少なくないはずだ。
ところで、金曜日。
手持ちのヤコブ・ユーリの弓が長年の使用で傷んでフロッグも黒檀が割れてきたので修理して頂くことにした。購入元の名古屋のシャコンヌさんへ。弓の修理をお願いし、あれこれ見せて頂いたりお話を聞かせて頂いた。
フロッグにヒビが入り後世の修理で継いだ部分も浮いてきています。継ぎ直しを行うことに。
本来のフロッグの高さになるはずで音も変わるはず。楽しみ^^。
そんなところに、とても上手な中学生くらいの男の子がお店にいらした。楽器にもとても興味を持っている様子だったので、いろんな楽器や、わたしの弓も含めて弓もあれこれ弾いて頂いた(もちろんお店の方に許可を取ってです)。
30年前の自分を見ているようだった(思い出に感傷的になるのはオジサンになった証拠だが)。目を輝かせて多くの楽器を弾かせて頂いたり、お店の方に楽器について教えて頂いたり(30年前の中学生の頃にシャコンヌさんの窪田会長にオールド楽器のニスについて教えて頂いたことや、オールド楽器を弾かせて頂いたことを今も鮮明に覚えている)。また、お店にたまたまいらした見知らぬおじさん・おばさん(中学生の目には大人は皆おじさん・おばさんなのです)から、お話頂いたり経験させて頂いたりもあった。
自分は音楽の道に素直に進まず、いろいろ回り道をして迷いながら今に至る。その中で間接的とはいえ、心の支えになったのはお店の方や見知らぬおじさん・おばさんから経験させて頂いたことだ。そんな経緯があるため、次の世代に多くの経験をさせてあげたいと思う気持ちは強い。その経験を貴重な経験と思って感動するかどうかは本人次第だ。将来に生かすかどうかも本人次第だ。でも機会の提供は少しばかり先に生まれた者の責務だ。
30年後、あの時のおせっかいな見知らぬおじさんに経験させてもらったことが少しでも役に立っていればと願うばかり。そして、すごい楽器を弾いて感動できる心を大人になっても持ち続けることができれば、きっと音楽で食べ続けていける。それが本当の「豊かな心」「豊かな人間性」なのだろうから。
帰りの新幹線でご飯。こゆい名古屋めし^^