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土曜・日曜は東京にてレッスン。今回も非常に多くの方にお越し頂き有難うございました。
「上手に楽器を弾くということはどういうことなのか」というお話をさせて頂いたケースがあった。言葉で言うと、NHKのアナウンサーのように誰に対しても全ての言葉が的確に伝わるように話をする、というのが上手な演奏と説明させて頂いた。
演奏で言えば全部の音が聴き手に伝わるように弾くこと、楽譜に記されていることを忠実に再現することが上手な演奏と言える。楽譜をすっ飛ばして弾いてしまうのは、原稿と全然違うことを適当に話しているアナウンサーのようなものだろうか。
うちのレッスンでは音階でかなりの時間を費やすことが多い。比較的、初期段階から和音も含めて頻用する音階のパターンを進めていく。地味な練習であるし、退屈であるし、しかも成果が見えない。けれども、的確な発音を知らないでアナウンサーはできないし、まして漢字の読み方が分からなければ問題外。
もちろん楽譜に忠実でなくても味わいのある演奏だったり、感動できる演奏というものはある。訥々としていても、つっかえつっかえであっても心に響く話しぶりがあるのと似ていて、それが本来の言葉の力なのだろうとも感じる。音楽の場合でも同様で「上手な演奏」が「感動できる演奏」とは限らない。
わたしにお話できるのは「上手な演奏」をするためにやるべきことをご提案すること。的確に弾けるようにと進めているつもりで、どんな方向で進めていくべきなのかを知って頂ければと。わたしには「感動できる演奏の指導」は無理だなあと思う。「作った感動」はあざといものと自分には思えるし。