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月曜日はお越しになる方も出かける用事もない一日。楽器写真の作業など、夕方まで自宅でお仕事。
シゲティのバッハの無伴奏を聴きながら(ついでにグレン・グールドのバッハのインベンションとシンフォニアも)。シゲティが名演奏家の名前と覚えたての頃、25年ほど前にラジオで聴いてかなりがっかりした経験のある演奏。その後、CDも買ったが名盤とされる理由がわからなかったもの。実際、「シゲティは下手くそだが精神性が優れている」と書かれたものすら読んだことがある。ふーん、そんなものなのかなあと思っていた。
オーディオ機器を替えたら評価が変わったCDが続出なので、これも聴き直してみた。
改めて聴いてみたら、ものすごくきちんと弾いていることが分かった。悪く聞こえた音程も一貫性があり、ヨレヨレに聴こえたボーイングもちゃんと楽器が鳴っている(シゲティの楽器とされるものを触ったことがあるが良い楽器でした。これがどうしてああいう音で録音されていたのか分からなかった)。何より音楽的な構造がきちんと見える演奏と初めて分かった。思いのたけを楽器にぶつけた情に溺れた感情的な演奏では決してない。
旧ホームページの頃に下記のような記事を書いたことがある。ちゃんと聴けていなかったことが今となってはよくわかる。知らないということは恐ろしいこと。
http://www.violinwakaru.com/artcl_50/50_00014.htm
簡単に「分からない」なんて言っちゃいけないものだなと思わされた。まして、安易な評価はできないものだとも。多くの経験を積んで、条件が整ってはじめて分かることもあるのだから。