最小限のヴァイオリン用語

ヴァイオリン演奏のために最低限覚えるべき用語をお示しします。より幅広い専門用語についてはインターネットや書籍になどに多く詳しく情報がありますので、最小限覚えなければならない用語のみ最小限の説明にて示してあります。

ヴァイオリン本体の用語編

【楽器】
ヴァイオリンの世界では「ヴァイオリン本体」の事を「楽器」と呼ぶことが多くあります。

【弦(げん)】
ヴァイオリン本体に張ってある線の事です。各弦の呼び名は細い方から

  • E線(えーせん)
  • A線(あーせん)
  • D線(でーせん)
  • G線(げーせん)

とドイツ語で呼ぶのが通例です。切れたり寿命が来たらプレイヤー自身で交換作業を行います。

【駒(こま)】

弦と胴体をつなぐ木片。駒の立てる位置や角度、駒の削り具合で音量・音色、弾きやすさが大きく変化しますので、弦楽器専門店にて整備をしてもらう必要があります。

【魂柱(こんちゅう)】

胴体の表側と裏側をつなぐ木の柱。駒と同じく魂柱の削り加減や立て加減で音量・音色、弾き加減が大きく変化します。これも弦楽器専門店にて整備をしてもらう必要があります。

魂柱は右側のf字孔から覗くと見えます。こんな感じの菜箸のような木の棒です

【指板(しばん)】
指を押さえる黒い部分です。指板の調整具合によって、音程の取りやすさも大きく変わります。

【ペグ】
弦を巻き付ける糸巻き。ペグを回すことも重要な演奏技術のひとつです。また、動きにくい場合は調整が必要です。

ペグは穴に差し込まれているだけの簡単な構造です

【アジャスター】
通常E線に付いている弦の張りを微調整するための器具。

【肩当て】
ヴァイオリンを支える補助器具。本来なくてもよい器具ですが、現在は使用して演奏することが多いと言えます

弓の用語編

【弓】
弦を擦る馬の毛を張った木の棒です。ヴァイオリン本体と同じく、弓によっても音色・弾き心地が大きく変わります。

【スティック】
弓の棒の部分。通常、木製・カーボン製。この棒の材質や削り具合で音量・音色・弾き加減が大きく変化します。

【弓の毛】
馬のしっぽの毛を使用します。弓の毛に松脂を塗ると音が出るようになります。半年~一年に一度程度の周期でお店で交換してもらいます

【おねじ】
スティックの端についているネジ。これを回すと弓の毛の貼り加減が変わります。このネジを調整し適度な張りにして使用します。

【松脂(まつやに)】
弓の毛に塗る樹脂です。これを弓の毛に塗ることで音が出ます。松脂でも音は大きく変化します。

ヴァイオリンの演奏技術の用語編

【調弦(ちょうげん)・チューニング】
ギターなどと同じくあらかじめ弦の音程を合わせておく必要があります。細い方からミ(E)、ラ(A)、レ(D)、ソ(G)の音に合わせます。最初はチューニングメーターなどを使用して調弦をして良いかと思います。

【ボウイング】
弓を動かすこと。弓を弦に当てて動かす事で音が出ますので、ヴァイオリンの演奏技術として非常に大切かつ難易度の高い技術と言えます。ヴァイオリンらしい音を出すには相当な訓練が不可欠で、弦を押さえる左手よりも時間と労力を要します。

【元(もと)・先(さき)】
弓を持つ手に近い側を「元」、手から離れた箇所を「先」と呼びます。また、弓の先端付近で弾くことを「先弓(さきゆみ)で弾く」、弓の中央付近で弾くことを「中弓(なかゆみ)で弾く」、弓の手元付近で弾くこと「元弓(もとゆみ)で弾く」などと表現されます。

【下げ弓(ダウンボー)/上げ弓(アップボー)】
弓の元から先に動かすことを下げ弓(ダウンボー、もしくはダウン)と、弓の先から元に動かすことを上げ弓(アップもしくはアップボー)と呼びます。下げ弓も上げ弓もほぼ同じ音質になるように訓練します。

【移弦(いげん)】
ある弦から別の弦へ弓で擦る弦を変えることを移弦と言います。移弦がスムーズにできないと音が途切れ、音楽もつながり無くなってしまいますので、移弦の訓練はヴァイオリン演奏のポイントのひとつと言えます。

【重音】
2本以上の弦を同時に弾く弾き方を重音と言います。ヴァイオリンは単音で弾くことが基本の楽器ですが、かなりの頻度で重音を使用します。

【指番号・フィンガリング】
左手の指を押さえる動作をフィンガリングと呼びます。指の指定のために、ピアノと同じく指番号を使用します。ですが、ピアノと指番号が異なりヴァイオリンでは、

  • 1の指:人差し指
  • 2の指:中指
  • 3の指:薬指
  • 4の指:小指

の対応になります。また、何も押さえない状態を「開放弦」と呼び0と表記します。

別の指でも同じ音程も出せますが、楽譜に指定通りの指で押さえることが多いと言えます。これは押さえる指によって音色が違ったり、フレーズのつながりに影響するためです。

【ポジション移動/シフティング】
左手の押さえる位置は、必要とする音の高さや音色によって変化させます。左手の押さえる位置をポジションという単位で表現することがあり、左手を押さえる位置を変えることをポジション移動もしくはシフティングと呼びます。

【弓を寝かせる/弓を立てる】
弓で弦をこするときには、張ってある弓の毛を全て使うことが原則ですが、使用する弓の毛の本数を減らして使用することが多々あります。弓の毛を減らした状態にすることを「弓を寝かせる」と呼び、弓の毛を多くした状態にすることを「弓を立てる」と表現します。

【デタッシェ】
音の長さ通りに一定に連続的に弾くボウイングをデタッシェと呼びます。これがヴァイオリンを弾く最も頻用する技術と言えます。音がムラになったり音が短くなってしまったりしないように時間をかけた訓練が必要です。

【スピッカート/跳弓(ちょうきゅう)】
弓を跳ねさせる技術をスピッカート、あるいは跳弓と呼びます。ただ、演奏者が弓を跳ねさせているのではなく、弓の弾力を利用して跳ねるように仕向けている動作であることに注意です。

【ヴィブラート】
音を規則的に揺らす技術をヴィブラートと呼びます。ヴィブラートがあってこそヴァイオリンの音になります。所定の速さ(周波数)、所定の揺れ幅(振幅)、規則的な動きがポイントとなります。サインカーブのような角のない滑らかな動きが理想的な揺れ方と言えます。