虫喰いの跡−修理の痕跡


ヴァイオリンは木材で作られているため、長い間には虫喰いも起こります。古い楽器には、かなり多い割合で虫喰いの跡を見ることができますし、比較的新しい楽器でも虫喰いの修理痕を見ることができる場合もあります※1。

写真1 虫喰いの例
写真2 虫喰いの例

虫喰いの場合は、写真のように木目に合わせて木材を埋め込む修理を行われる場合があります。

虫喰いの多い楽器は価値の上では状態が悪いものとして低くなってしまう場合が多いようです。ですが、きちんと修理してあれば充分良い音色が出ますし、本来良い楽器が安く買えるチャンスにもなります。

次に売却するときの価値はもちろんそれなりに安くなりますが、「購入価格で売れる」という幻想は持たない方が良いと思います。

ご自分の楽器に虫喰いの修理痕がある場合も、マイナスの意識を持つ必要はないと言えます。虫喰いもその楽器が経てきた歴史のひとつです。もしかしたら、ある時期はあまり弾かれておらず眠っていた楽器なのかも知れないし※2、それを直すだけの価値を誰かに認められた歴史でもあります。

虫喰いもよくあることのひとつとして、その楽器の歴史を考えてみてはいかがでしょうか?

※1 1900年代の楽器でも虫喰いのある楽器を見たことがあります。虫喰いは比較的新しくても起こりえます。

※2 いつも弾いている楽器でも虫喰いは起こるそうですが、長期保管時の方が発生率は高いように思えます。


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