自分の「良い音」とみんなの「良い音」


ヴァイオリンの「良い音」ってどんな音でしょうか?これを人の声に置き換えて考えてみることにしましょう。 良い声とはどんな声?と問われると困ると思います。例えば、ジョン・レノンの声とポール・マッカートニーの声に差があるのは、誰でも認められるでしょう。そして、人それぞれに好みもあるかと思います(わたしはジョンの方が好きです)。ですが、どっちが良い声ですか?と聞かれて適切に答えられるでしょうか?答に意味があるでしょうか?

実際のところ、良い音のヴァイオリンは?という問いに答は無いと思います。「ご自分のお好きな音が、ご自分にとって良い音ですよ」という以上のことは言えないでしょう。

しかし、「一般的に、多くの演奏家にとって"良い音"のする楽器」を知る手がかりはあります。株価などと同じく、ヴァイオリンの価格は短期的な変動はあるものの、長期的には「演奏家にとっての音の良さ」と比例すると思います。良いヴァイオリンを欲しがるのは最終的に演奏家で、「演奏家にとっての"良い音"」が楽器の価格を決める、有力な要素と考えられる得るためです。

評価の定まった古いヴァイオリンなら、価格の高いヴァイオリンほど「良い音と考える人が多い」と言えるのではないでしょうか?ストラディヴァリやグァルネリといった楽器が高額なのは、多くの演奏家が「良い音、良い弾き心地」と感じ、長期にわたる無数の評価を下されてきた結果と言って良いのではないでしょうか?

「多くの人が"良い音"と思うヴァイオリンの音」を知りたいのなら、名の通ったヴァイオリンを弾いてみることが一番でしょう。ひとつだけでは、一般的な特徴か、その楽器の特徴か分からないため、複数の場所で複数の楽器を弾くことが理想です。

多くの人が認める「良い音」を知らなければ、手探りで「良い音のヴァイオリン」を求めても、さまよい続けることになると思います。「良い音」を知るヒントになれば幸いです。
←Back Next→
ヴァイオリンを選ぶ
トップ

(C)Caprice