ヴァイオリンは投資対象として不向き


ヴァイオリンを投資(投機)の対象と考える方が少なくないようです。ヴァイオリンは値上がりを続け、一部の例外を除いて値下がりしたことがない、と書籍にも書かれています※。 確かに、オールドイタリーは値上がりを続けているし、一部のモダンイタリーの値上がりはすさまじいものがあります。これをみて、ヴァイオリンを投資対象にしようと考える人もいるのでしょう。

ですが、投資対象としてリターン率や通貨性、流動性を考えた場合、普通のユーザーにとってはヴァイオリンは投資には不向きとわたしは思います。お金を稼ぐための投資なら、不動産投資や株式投資の方がずっと優れています。

リターン率で言えば、大変に値上がりをしている楽器でも、10年で倍になる程度でしょうか。それなら若い企業の株の方がずっと早く倍になるでしょう。

通貨性の点では、ヴァイオリンはラベルや鑑定書がついているからと言って、本物とは言えません。真贋の判断は買い取る側(楽器店など)に任されています。売る側にとってどんなに素晴らしいストラディヴァリでも、買い取る側がストラディヴァリと思わなければストラディヴァリとはならないのです。

流動性の点では非常に悪いと言えます。ヴァイオリンを欲しがる人は、現金や株を欲しがる人よりずっと少ないことからして、明白でしょう。

ヴァイオリンはあくまでも音楽を奏でるための道具です。投資と考えるのは結構ですが、リターン率、通貨性、流動性からみて、よほど安く購入して長期投資しない限り、本質的には決して儲かる投資ではないことを、お伝えしておきたいと思います。

※下がらないと言われた不動産価値なども含め、どんな神話があるものでも、価値・価格の下落は生じうると思います。
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(C)Caprice