左手に痛みが走る:弾くと身体が痛くなる6


弦を押さえる左手も痛くなることがあります。酷使することによる痛みは、主に指の付け根や手のひらに痛みが走るような場合かと思います。長時間弾いたときなど、一時的に痛くなるのはそれほど問題ではないと思いますが、慢性的に痛むのは少々深刻です。

左手の痛みの原因は、ほぼ100%押さえすぎです。弦はある程度押さえなければ充分に音がかすれてしまいますが、むしろ、必要以上に押さえすぎていて音がつぶれてしまっているケースをよく見かけます。

昔ながらの教育では、「しっかり押さえなさい」、「叩きなさい」と言われたものですが、それも程度の問題と思います。ヴァイオリンの適切な押さえ加減は意外と軽い加減にあると言えます。「しっかり弦を押さえる」のではなく、弦の響きを止めない程度の押さえ加減になります。

ポジション移動にしても、弦を押さえるにしてもそれほど素早い動きが要求されるわけではありません。やたら素早くポジション移動をするのではなく、音楽的な速さで。やたら弦を叩くのではなく、鍵盤楽器のようなタッチがつく程度に。

ヴァイオリン演奏には必要以上の敏捷性を要求される運動ではありません。あくまでも音楽をするためのもので、エレガントな音楽ならエレガントな動きになります。何でもかんでも素早く、力一杯にではなく、あくまでも音楽の動きと考えてみてはいかがでしょうか?

左手が痛くなるときには、音楽をやっているのだと言うことを思い出していただければと思います。痛みの解消の参考になれば幸いです。

※わたし自身もかつてはかなり強く弦を押さえていたし、素早い動きをしていました。痛くなったことも何度もあります。でも、筋肉でヴァイオリンを弾くことは間違いですし、むしろ音色は悪化することに気がつきました。音楽をやっていることを随分長い間忘れていました。

←Back Next→
ヴァイオリン演奏のヒント
トップ

(C)Caprice