長く弓を動かす:音のムラ、弓の震え


短い音よりも長い音の方が高度です。意外に思われるかもしれませんが、弓の元から先までを使って均一に弾くのはかなり高度な技術です※。一般的な感覚とは逆かもしれませんが、フォルテよりはピアノの方が、短い音よりは長い音の方が難しい技術です。

音のムラや弓の震えが出やすいのも多くは長い音(弓を長く使って弾く)場合です。

指導方法としては、とにかくボーイング(運弓)の練習をひたすら続けさせる場合が多いのですが、単純にボーイング練習を続けているだけでは改善しません。音のムラや弓の震えを改善するキーポイントはいくつかありますので、お悩みの場合はチェックしてみて下さい。

【弓を必要以上に指先で強く持っていないか】
弓は指先でしっかり持つのではなく、でも、フラフラしているわけでもありません。お箸を持つような感じに似ていると言えます。お箸を落とさない程度に、でも、食べ物は取れる程度の力加減です。弓を持つときに指先ではなく手のひらを意識すると適度に緩みます。

【弓を必要以上に大きく動かしていないか】
3cm短く動かしてみると、コントロールしやすくなるのでは?弓が大きく使えていない場合よりも、むしろコントロールできないほど振り回してしまっている場合が多く見られます。

【手先だけで弓を動かしていないか】
腕と弓が一体になったような意識で弾くとコントロールしやすくなります。ひじから先だけで弾くのは間違いですし(名演奏家の映像をぜひ見て下さい)、手首から先で弾くのはもっとオールドファッションな弾き方です。

【上下の動きが入っていないか】
弦を真横に振動させるように動かすと震えにくくなります。特にダウンボウ(下げ弓)の場合にトラブルは起こりやすく、右手の手首で弓をねじるように弾いていたり(ひじは上がる方向)、逆に、ひじが下がっていくような弾き方をしていると、弓は震えます。弓は弦に対して真横に動かすべきです。

大きく弓を動かすときの参考にしていただければ幸いです。

※初歩教育でロングトーンからやらせる場合がありますが、技術内容の高度さからすると疑問を感じます。その点スズキの教本はよくできています。


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