なぜ力を抜くのか、姿勢を良くするか?


どうして力を抜きなさいと言われるのでしょうか?どうして姿勢を良くしなさいと言われるのでしょうか?更に言えば、どうして弓をまっすぐに動かさないといけないのでしょうか?駒と指板の間で弾く位置を指摘されるのでしょうか?

指導には理由があるものですが、概してその理由を説明されることは多くないようです。まずは1分間、姿勢や持ち方などで指導されていることについて、その理由を考えてみて下さい。

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大半の技術は、安定した演奏ができるためにあります。弓の技術であれば「音の最初から最後まで同じ音で弾く」というのが、一番基本的な技術になります※。ムードに酔って弾くことができるために指導されているわけではなく楽譜通り正しく弾けるために指導されている、と考えないと指導内容は理解できません。

単純に楽譜通りということはコンピューターミュージックみたいになります。均質な音で、指示通りの音の長さで、正しい音程でとなります。多くの場合、あまりに人間的に弾こうとしすぎて、更に悪いことに、それが美しい演奏と思いこんで、かえっておかしな演奏になっている場合が多いようです。

もちろん表現や表情も大切です。ですが、まずはコンピューターミュージックのように、指示された通りに弾いてみて下さい。おそらく、窮屈な感じを受けるとは思いますが、録音をして自分で聞き返してみて下さい。この方がCDに近い演奏になりませんか?そこから力を抜く理由も姿勢を良くする理由も理解できてくるのではありませんか?

上達するとは、美しい演奏とは、また、先生に指導される内容の意味は、を理解するヒントになれば幸いです。

※いわゆるヴァイオリンの音というと、立ち上がりがゆるい「後押し」の音のイメージがありますが、むしろ「音の最初から終わりまで同じ音」の方が名演奏家の演奏に近づくようです。ヴィブラートも多くの名演奏家は特殊な効果を除いて基本的には最初から最後まで同じようにかけているようです。

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