個人レッスンとグループレッスン:ヴァイオリン教師という仕事9



ご存じの通りレッスンの形式には個人レッスンとグループレッスンがあります。

【グループレッスン】
グループレッスンは教える側にとっては効率的に収益を上げられます。5人のグループレッスンであれば単純計算で5倍。その分、レッスン料を下げ多くの人を集めることもできるのでビジネス的にはとても有利です。

しかし、学校の授業と同じで、ひとりひとりの問題を把握し指導するのは困難になります。その結果、どんどん曲を先に進めるとか、みんなで弾くといった、「量」が中心になりがちで、個々の「質」を良くすることは難しくなります。

教育には「量」が必要な場合も多々ありますが、算数や社会と違って、音楽の場合は「質」が強く問われます。たくさんの曲を弾けても「質」が伴わなければ、弾いている本人も気分が良くないし、客観的にも心地よい演奏には聞こえません。

楽器の扱い方、ヴァイオリンを触ってみるといった段階ではグループレッスンは安価ですし優れている面もあります。しかし、「質」を意識するのであれば個人レッスンの方が望ましい教育形態であるといえます。

【個人レッスン】
個人レッスンのメリットは「質」を徹底的に良くできるところです。逆に言うと、単純に曲を進めるだけのレッスンなら、個人レッスンのメリットは何もありません。

ヴァイオリンは難しいイメージがありますが、とりあえず弾けるだけならそれほど時間もかからないし大して難しいことでもありません。ですが、音色にしろリズムや音程にしろ「質」を良くするのは非常に難しいし時間もかかります。特にヴァイオリンは「質」の差が大きく出るので、「質」の改善が重要になります。

「質」の改善を妥協なくできるのが個人レッスンです。妥協なく(もちろん、同じ事を永久にやっているのはナンセンスです)質をよくしようとして下さる先生なら、個人レッスンを受ける価値が高いでしょう。逆に、レッスン時間の大半がおしゃべりだったり、先生が居眠りしているような場合は、レッスンを受ける価値はありません※1。

例えるなら、グループレッスンは大量生産、個人レッスンは手作りのようなものです※2。大量生産は安いが質はそこそこ、手作りはピンキリだが上手い職人がやれば非常に質は高い。グループレッスンか個人レッスンかと思ったときは、そのように考えて頂ければと思います。

※1 個人レッスンは先生のやりたい放題なので文字通りピンキリです。社会的におかしいことをする先生とわかったら早いところ離れるのが望ましいと言えます。いくら先生が有名であっても、「先生が居眠りするから上手くなる」「おしゃべりを聞くと上手くなる」ことはありえません。

※2 教える側にしても、文字通り丹誠を込めて作っていく感覚になります。地味な作業の連続ですが、それが実を結んだときには教える側にとっても本当に嬉しいものです。

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