良い楽器は「音楽」を持っている:買い換えのヒント8


ヴァイオリンを買い換える場合はぜひ試奏をしてみて頂きたいと思います。

充分弾けないから、気後れするからなどの気持ちはわかりますが、それでもぜひ自分で納得のいく音の楽器を選んで頂きたいと思います。自分で弾くのに抵抗がある場合は、店員さんに弾いて頂くことも多くのお店でできます。

自分で弾くにしろ、客観的に聴くにしろ、音での第一印象が「すっげー」と感じるヴァイオリンや弓が良い楽器と言えます。良いヴァイオリンは例外なく充分な音量がありますし、音に存在感があります。大人しい音、柔らかい音の楽器が好印象になることもありますが、これは後々不満が出てきがちになります※。

次に、「音楽ができるか」が問題になります。値段によらず、良い楽器は音楽を持っていて、それまで苦労していたパッセージが簡単に弾けたり、思いもよらなかった表情が出てきたりします。「すっげー」音でも音楽のできない楽器はしばしばあります。それは、ただ単にうるさい音の楽器だったりします。

楽器の善し悪しの判断は、究極のところ「すっげー音がでるか」「音楽ができるか」の両方にあると思います。

名品と言われるものを可能な限り触ってみて頂きたいと思います。値段で言えば、3000万円以上するような楽器です。良いものを知らないで価値判断をすることはできないと思います。その上で、ピンと来る楽器を選んで頂きたいと思います。

※このように書くと、ニコロ・アマティが大人しく室内楽的と言われるのはどうなのかと言われるかもしれません。ですが、本物のアマティはストラディヴァリやグァルネリに比べれば大人しく柔らかい音であるものの、相当に大きな音量があります。ギドン・クレーメルが最近使っていると言われますが、ソリストでも充分使える楽器と言えます。


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