ブランド(製作家名や製作地):買い換えのヒント7


製作者の名前や製作された土地も、満足の要素になり得ます。自分が使っているヴァイオリンが有名な製作家の作によるものであれば持っていて気持ちいいし、イタリア製というだけで誰かに自慢したくなることもあるかと思います。また、古い楽器であればその楽器の来歴を知りたくなる気持ちも起こることでしょう。

けれども、製作者名や製作地といった「ブランド」は傷つきやすいものでもあります。誰かが「その作者は評判が悪いよ」と言えば、つい先ほどまで輝いていたヴァイオリンも色褪せて見えます。まして、楽器店などで「偽物だ」などと言われれば、持っていることすら気分が悪くなります。

ヴァイオリンはラベルと実際の製作者が一致しないことが非常に多くあります。またその楽器にまつわる「物語」もどこまで本当か怪しいこともあります。別の作者によるものだったことが判明しても、そのヴァイオリンや弓を信じて愛情を注ぐことができるかどうかが、「ブランド」とのつきあい方と思います。

有名ブランド、有名製作者を否定するわけではありません。良い物を知るひとつの手がかりにはなるでしょうし、一度は有名ブランドを手にしてみるのも良いとは思います。けれども、「ブランド」が価値なのではなく、プレイヤーにとっての価値は「出てくる音」となります。

楽器は最終的には音が全てです。どうぞ有名ブランドだから、イタリア製だから、と思わず、良い音と思うかどうかで判断をなさることをお勧めしたいと思います。

※わたし自身の楽器はラベルはありますが製作者不明(その方が都合が良いことが多い)と考えています。でも、楽器のつくりも音も非常に良く相当に良い製作者によるものと思っています。ラベルに書いてある情報に価値があるわけではなく、実質的な価値で見るべきと考えています。


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(C)Caprice