練習の順序:効率的練習のヒント5


練習の順序については、しばしば議論の対象になるように思えます。基礎練習から、ゆっくりした練習から始めるべきと言われることもあります。ある面では同意見ですが、必ずしも基礎練習から始める必要はないとわたしは思います。

身体が冷えているときはウオーミングアップをした方が良い場合もあります。ゆっくりで簡単な音階から始めることはひとつの方法でしょう。音階から始めるメリットは音程やボーイングの注意を払うことができ、より高い精度で習熟できることにあります。多く練習時間を確保できるのであれば、音階やセブシックなどのパターン練習から始めるのは手戻りが少なくなると言えます。

けれども、基礎練習のために曲の練習ができず、曲が弾けないというのでは本末転倒です。また、必ず音階からでないと曲が弾けなくなってしまうのも困ります。曲をゆっくり弾くことでウオーミングアップとすることも可能で、練習の順序に過度にとらわれる必要はないと考えます。曲から練習を始めても良いし、音階練習は最後でも良いと考えます。

また、ヴィブラートやスピッカートなど、練習を分散した方が習熟が速くなる技術もあります。例えば、1時間練習時間を確保できるのであれば、前の方の5分、中間の5分、後の5分など少しの時間を分散し、間に別の練習をする方が効果的と言えます。

練習の目的は曲がうまく弾くことにあるわけで、おまじないのように順序を決めて練習することに意義があるわけではありません。練習方法のご参考になればと思います。

※うちのレッスンでほぼ毎回弓の練習→音階→ヴィブラートなど→練習曲→曲としているのは、単にその方が時間配分がしやすいためです。必ずこういう順番でという意味ではありません。

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